人権の尊重

人権、差別、不当労働に関する取り組み

エプソンは、人権を尊重し、事業活動に伴って生じさせる可能性のあるあらゆる差別や不当労働を全世界で排除・撤廃する活動に積極的に取り組んでいます。2004年に国連グローバル・コンパクトに署名し、その姿勢を明確にしました。さらに2005年には「人権と労働に関する方針」を制定し、人権の尊重、ハラスメント排除、あらゆる差別の排除、地域の文化・慣習の尊重、児童労働や強制労働の禁止、良好な労使関係の維持などを明文化してグループ内に周知・徹底し、また公開しています。
「人権と労働に関する方針」は、以下の規範を参照し、制定しています。
 ・国連グローバル・コンパクト
 ・OECD多国籍企業行動指針
 ・ISO 26000
 ・ILO中核的労働基準

さらに、エプソンは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(2011)を参照し、また2019年4月にグローバルサプライチェーンのCSRを推進するResponsible Business Alliance(RBA)に加盟し、RBAの行動規範に基づき、積極的にRBAの手法と手段を実践して状況評価や改善活動を行っています。

人権、差別、不当労働に関する取り組みは、取締役人事担当執行役員の責任の下、人事担当部門を中心に、国内外関係会社の人事部門とのネットワークを構築して行っています。エプソンでは、人権と労働に関する方針およびRBA行動規範に基づき、事業上の人権リスクとして、児童労働、強制労働、その他の搾取的な労働、労働者の権利や労働条件、差別やハラスメントなどを特定し、年1回全グループ会社においてCSRアセスメント調査を行い、当社およびグループ各社における人権、差別、不当労働等に関するリスクの評価と改善・是正活動を行っています。エプソンは、これらの人権リスクに対する取り組みを「サステナビリティ重要テーマ」の一つとして位置づけ、グループ全体で推進するとともに、CSR調達主管部門を通じて、サプライチェーンにおけるリスク評価・改善活動を同様に行っています。

2020年度のCSRアセスメント調査の結果、当社およびグループ各社における、児童労働・強制労働・差別等の重大な人権侵害事案は0件でした。

エプソンでは、エプソン・ヘルプラインをはじめ、ハラスメント相談窓口、長時間労働相談窓口、従業員相談室などの各種相談窓口を設置し、従業員からの人権、差別、不当労働等に関する相談に対応しています。また、ハラスメントなどの人権侵害や差別、不当労働に関する処罰事案や会社の対応について、定期的に全社開示し、また社内広報等を通じて注意喚起を行い、同様の事案の未然予防・再発防止に努めています。また、エプソンでは、お客様や投資家、地域住民の方など全てのステークホルダーを対象とした通報制度やサポートセンターを整備し、あらゆる苦情に対して適切に対応しています。

パワーハラスメント防止への取り組み

パワーハラスメント防止研修の実施

エプソンは、ハラスメント相談窓口を設置し相談対応を行っています。また公平で働きやすい職場環境の実現に向け、パワーハラスメントの防止と根絶を目的として、2014年度以降、パワーハラスメント防止研修をグループ会社まで含めて展開しています。
2015年度から行っている経営層、管理職層、リーダー層、海外赴任者を対象とした階層別教育に加え、2018年度から毎年、一般者を含む全社員を対象としたeラーニング教育を実施し、パワーハラスメントのない組織風土づくりを推進しています。

アンガーマネジメント研修

パワーハラスメント防止のために、「アンガーマネジメント」が有効だと言われています。
怒りの感情と上手につきあうスキルを身に付け、怒りを上手にコントロールできるようになるために、2016年度より「アンガーマネジメント研修」を展開しています。怒りへのその場の対処や長期的な体質改善のスキルを身に付ける基礎編から、パワーハラスメントにならないコミュニケーションスキルを学ぶ叱り方教室など、経営層への展開を筆頭に、階層別・職場別・自己啓発など、毎年70講座前後を開催し、当社および国内関係会社延べ7,500人余りが受講してきました。従来のパワハラ防止研修に加え、こうした具体的なスキルの習得でパワーハラスメントの撲滅を目指します。

ハラスメント防止研修/アンガーマネジメント研修実施状況

(2021年3月31日時点)

現代奴隷と人身売買に関するステートメント

エプソンは、2015年に発行された英国現代奴隷法や2018年に発行されたオーストラリア現代奴隷法、および米国カリフォルニア州サプライチェーン透明法などに基づき、現代奴隷や人身売買をサプライチェーンから撲滅するための方針やエプソンの状況を以下の通り開示します。

人権デューデリジェンス

エプソンは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、グループ会社はもとより、ビジネスパートナーを含め、製品を開発し、製造し、販売する事業活動に関連したバリューチェーン上の強制労働・児童労働やハラスメント、差別などの、潜在的な、あるいは顕在化している人権リスクを特定し、それを調査して問題・課題を析出し、それを是正・改善し、また予防するための「人権デューデリジェンス」のプロセスを継続して回しています。

エプソンのビジネス上における人権デューデリジェンスのプロセスは以下の通りです。
1.方針制定
2.人権リスクの特定、影響評価
3.改善計画、悪影響の停止・防止・軽減
4.結果/経過のモニタリング
5.コミュニケーション・報告
6.救済措置

具体的な内容は以下のとおりです。

(1) 方針の制定、コミット
・ 「人権と労働に関する方針」(2005年制定)
・ RBA行動規範
・ 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」およびその他の国際的な規範や基準

(2) 人権リスクの特定・評価の方法
エプソンの事業活動に関係するすべてのステークホルダー(お客様、株主・投資家、地域社会、ビジネスパートナー、NGO・NPO、社員 など)の中で、人権の観点から優先度が高いと考えられる社員・従業員・移民労働者にフォーカスして人権リスクを評価しています。

優先度の高い対象者 事業活動による影響/リスク 評価の方法
自社およびグループ従業員 雇用の自由選択(強制労働)、若年労働者、労働時間、賃金・福利厚生、人道的待遇(ハラスメント等)、差別、結社の自由

RBA準拠の

セルフ・アセスメント

派遣社員 同上 同上
構内常駐業者従業員 同上 同上
サプライヤー従業員 同上 同上
移民労働者 同上 同上

エプソンは、まずサプライヤーについて2015年度から順次、また海外製造拠点に対しては2017年度から、RBA行動規範および調査票に準拠したCSRセルフアセスメント調査を行っています。以降、年一回、各事業所・国内関係会社・海外現地法人、またサプライヤーに対し同様に継続してCSRセルフアセスメント調査を実施しています。

(3) 評価結果、是正・予防
上記の評価活動を通じて人権リスクの所在を特定し、特定されたリスクに対して是正・改善・軽減対策を取るよう各社・事業所に指示しています。

これまでに析出され、是正・改善し、または取り組みを行っている人権リスクの例:
・人材紹介業者への仲介料・採用費用の移民労働者負担
・移民労働者のパスポートの預かり
・時間外労働に係る労働者との合意プロセス
・長時間労働

(4) モニタリング
エプソンでは、毎年一回、CSRセルフアセスメント調査を継続して行い、各社・各事業所における行動規範への不適合事項の改善状況を確認しています。さらに、RBA行動規範への自社の適合度を正しく把握し、課題を抽出して是正・改善につなげるため、主要生産拠点において、RBAのVAP(Validated Assessment Program)監査を自主的に受審しています。

(5) コミュニケーション・報告
改善計画への取り組み実績および経過は、毎年責任者によりレビューを行った上でWebに開示し、サステナビリティレポートとして報告しています。また現代奴隷と人身売買に関するステートメントによりエプソングループのグローバルな取り組みを報告しています。

(6) 救済措置
優先的に対応する、「エプソングループ従業員」「派遣社員」「構内常駐業者従業員」「サプライヤー従業員」「移民労働者」に加えて、お客様や投資家、地域住民の方など全てのステークホルダーを対象とした通報制度やサポートセンターを整備し、あらゆる苦情に対して適切に対応しています。

エプソングループ各拠点のCSRセルフアセスメント評価

エプソンは、当社およびグループ各社における人権およびその他のリスクについて、潜在的な脅威と、それらが発生するおそれのある箇所について特定し、対策を講じてリスク発生を未然に防ぐため、自社事業所・国内関係会社および海外現地法人に対して自己評価アンケート(CSRセルフアセスメント調査)を実施しています。
エプソンは2019年4月にRBA(Responsible Business Alliance)にレギュラー会員として加盟し、2020年の調査からRBA Self-Assessment Questionnaire(SAQ、自己評価アンケート)を用いて自社グループの状況を調査しました。アンケートはRBAの行動規範に基づく、人権・労働、安全衛生、環境、倫理、マネジメントシステムに関する400問余りのアンケートです。RBAは製造拠点の自己評価を義務付けていますが、エプソングループとして共通の基準で各拠点の状況を評価するために、販売・その他の製造拠点以外の事業所・子会社に対しても同じアンケートを用いて調査を行っています。

アンケート内容

大区分 小区分(例)
A:人権・労働 雇用の自主性、若年労働者、労働時間、賃金、非人道的な扱い、差別、結社の自由 など
B:安全衛生 職場の安全衛生、労働災害、寮・食堂 など
C:環境 許可証と報告、汚染、危険有害物、排水・廃棄物、大気汚染、エネルギー・温室効果ガス排出 など
D:倫理 誠実なビジネス、不適切な利益の排除、知的財産権、公正な事業、通報、責任ある鉱物調達、個人情報保護 など
E:マネジメントシステム コミットメント、説明責任、リスク評価、研修、サプライヤー など

CSRセルフアセスメントの概要

項目 内容
実施期間 2021年4月~6月
調査対象

セイコーエプソン事業所 12事業所

国内関係会社 8社(うち製造会社6社、販売その他会社2社)

海外現地法人 49社(うち製造現法16社、販売その他現法33社)

調査票 RBA Self-Assessment Questionnaire(SAQ)
課題把握、分析 2021年8月~9月
改善実施 2021年10月~ 各事業所・子会社において改善実施
改善状況確認 2022年4月にCSRセルフアセスメント調査を実施して確認

CSRセルフアセスメント評価ランク分け

リスクランク 評価点 説 明
ローリスク 86点以上

基本的に、RBA行動規範の要求レベルで行動ができている

改善が必要な項目も自主的改善が可能

ミドルリスク 66-85点

RBA行動規範の要求レベルで行動ができていない項目があるが、自主的改善が必要

ハイリスク 65点以下

RBA行動規範の要求レベルで行動ができていない項目について、改善計画に基づき状況モニタリングが必要

2021年CSRセルフアセスメント評価結果

評価 評価点 セイコーエプソン
事業所
国内関係会社 海外現地法人 合計
製造会社 販売その他
会社
国内関係
会社計
製造現法 販売その他
現法
海外現法計
事業所数 % 会社数 % 会社数 % 会社数 % 現法数 % 現法数 % 現法数 % 拠点数 %
ロー
リスク
86点
以上
12 100 5 83 1 50 6 75 12 75 15 45 27 55 45 65
ミドル
リスク
66-85
0 0 1 17 1 50 2 25 4 25 18 55 22 45 24 35
ハイ
リスク
65点
以下
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
合計 12 100 6 100 2 100 8 100 16 100 33 100 49 100 69 100

【総括】
・各事業所・国内関係会社・海外現地法人におけるCSRセルフアセスメント調査の結果、どの拠点においてもミドルリスク以上となり、人権上・コンプライアンス上・倫理上の重大な問題は見当たりませんでした。
・2020年度はRBA行動規範に基づき、本社各主管部門によりグループ規程・基準を見直し、各拠点に対してグループ方針やグループ規程、ルール、ガイドライン等を再徹底する活動を行った結果、ミドルリスクが前年度の50%から33%へと減少・改善しました。
・さらに、2020年度の結果において人権・労働パートのプライオリティ抵触リスクのある項目について、海外現法の状況確認を行い、以下について改善を指導し、是正を図っています。
  ・人材紹介業者への仲介料、採用費用の移民労働者負担
  ・時間外労働に係る労働者との合意プロセス
  ・長時間労働
・2021年度は、各拠点に対し、グループ方針やグループ規程、ルール・ガイドライン等の一層の浸透を図るとともに、回答内容について詳細を確認することにより、プライオリティ抵触リスクの撲滅とミドルリスク拠点のさらなる減少を図ります。

保安要員の人権研修

当社は、第三者組織である取引先に保安業務を委託しており、委託先会社に人権研修の実施を依頼しています。2020年度に実施したサプライヤーを対象としたセルフアセスメントによるCSR詳細評価において、委託先会社による人権研修の実施について確認しています。