人材開発

人材開発の考え方

エプソンは、「人材」をかけがえのない経営資源として位置付け、自己実現の夢を持った社員を支援し、エプソングループを人で結び、支え、育てることをうたった「人材開発方針」を1996年に制定するなど、人材開発・教育に力を入れて取り組んでいます。社員一人ひとりがエプソンというチームの一員として自分の役割や期待を理解して課題に挑戦し、仕事を通じて成長できるよう、また、一人ひとりが期待される役割を果たせるように、チーム内コミュニケーションの質の向上、および問題解決・課題達成のための思考力の向上につながるさまざまな教育研修を実施しています。

当社では、課長職に任用する前には「マネジメント実践コース」の受講を必須とし、管理職層に必要な「ビジネス軸」および「行動軸」での役割を理解し、要件を身につけます。「ビジネス軸」は経営戦略の目的を正しく理解し、社内外の環境変化に迅速、柔軟かつ適切に対応するスキルの研修であり、「行動軸」は戦略実現のために果たすべき役割を組織や個人に展開し、適材を配置することで、所属メンバーを育成し成長を支援するスキルの研修です。

また、新入社員・C等級の社員・シニアスタッフなどの各階層別集合研修、および各種公募型研修では、将来、管理職層の役割を担える人材となれるよう、連続性のある内容の研修を実施しています。

Off-JT(Off the Job Training)で得た知識を、OJT(On the Job Training)で実践し身につける

エプソンの人材育成の特長は、新入社員から管理職層に至るまで、それぞれのキャリアの節目で実施される階層別集合研修で得た知識を、その後のOJTで確実に修得させていることです。

階層別集合研修の後、新入社員であれば1年間、その他の研修であれば3カ月間を実践フォロー期間と位置付け、研修での学びを踏まえた行動計画を作成し、上司によるOJTのもとで実践することで、実際の仕事に活用できる能力・技能に高めています。

また、エプソンではすでに30年以上の長きにわたって「目標管理」制度を運用しています。全ての階層の社員全員が「目標管理」制度の対象となっており、上司と職場のメンバーが合意と納得のもとに目標を設定し、達成をフォローし、成果を振り返って、次期にはさらに高い目標に挑戦するサイクルを繰り返しています。この「目標管理」制度はOJTによる人材育成そのものであり、人材が成長することで組織・会社も発展するWin-Winの関係を築くサイクルなのです。

最適フォーメーションの構築とリーダー人材の育成

エプソンは、長期ビジョン Epson 25 Renewed 実現のため、事業戦略・環境変化に適応した最適フォーメーションを構築するとともに、各組織においてビジネスをけん引しうるリーダーの育成をグローバル視点で進めています。

年1回、事業別・機能別に、重要ポストや組織の各職務において求められる役割や要件を評価・見直しし、その役割を果たすことのできる人材のレビューを行い、その中から将来の経営層・管理職層の候補者をリストアップし、後継計画の策定や、育成・養成を目的とした研修・教育を実施しています。また、特にその母集団となるリーダー層と若年層については、各種研修の受講のほか、知識・経験の幅を広げるため、ローテーションプログラムを全社で構築し、推進しています。

主な教育活動

リーダー層を対象とした研修

管理職・海外赴任者向けの「マネジメント実践コース」の他に、選抜型研修としてF1、F2、F3研修を実施しています。「F1研修」は次期役員候補が同レベルの候補者とともに経営者になるためのスキルを習得します。「F2研修」は部長・課長を対象に、次期事業責任者を担える人材となるための実践スキルを習得し、「F3研修」は、ビジネスの初歩を学び実際に事業提案する実戦形式の研修です。これらを通じて、グループ会社を含めた次世代リーダー育成が行われています。

新入社員教育

エプソンは、入社後の1年間を仕事に対する基本姿勢および仕事の進め方を習得するための教育期間と位置付けています。
入社後3週間は、以下の習得を目的に、国内グループ会社の新入社員を対象に集合研修を行っています。

・エプソン社員に期待される行動を理解し、実践する。
・「省・小・精の技術」の基礎であるものづくりの心構えと態度を学ぶ。
・チームで協力して活動することの大切さを実感する。

具体的には、エプソン社員の行動のよりどころである「エプソン社員行動規範」を理解するための講義、「ものづくり実践研修」での実践訓練などを行います。また、研修期間を通して行われるグループ活動を通じて、チームで働くことの大切さや楽しさを学びます。
集合研修終了後は、配属先の育成リーダーのもと、職場でのOJTを通して仕事の進め方を学びます。育成リーダーには主に入社3〜5年目の社員が選ばれ、個々の新人に合わせた育成計画シートを作成し、1年間、二人三脚で独り立ちをサポートします。これにより新人だけでなく育成リーダー自身の成長も期待されています。
「新入社員」の肩書が外れる直前の翌年3月には、「フォローアップ研修」として再度集合研修を行い、お互いの成長を確認し合います。1年間を振り返りビジネスパーソンとしての基礎をより確実なものとし、一層の成長と貢献に向けた2年目以降の行動計画を考えます。

実習を通して、お客様満足について考える

若手社員の海外派遣

エプソンはグローバルに活躍できる人材の育成を積極的に進めています。
グローバル人材育成のため、若手社員を積極的に海外現地法人に派遣しています。(トレーニー制度)

トレーニー制度による海外派遣者推移

  2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
人数 8人 20人 34人 38人 29人 28人 22人 13人

(2020年度は新型コロナの状況に鑑み、休止しています。)

ライフタイムキャリアサポート

エプソンでは、人が育つ組織づくりに向けた取り組みを継続的に行い、達成感・成長を実感できるようなキャリアの構築に向けた支援を行っています。中長期的視点から自身が目指していきたいキャリアを考え、その実現に向けて主体的に行動できるような「ライフタイムキャリアサポート」(LTCS)という年代別・階層別の研修を2016年度から行っています。
 ●2020年度実績
  LTCS50研修(50歳の全社員を対象) 425人
  LTCS40研修(40歳の全社員を対象) 303人

「お客様の期待を超える価値を創出する」人材を育成する「ものづくり塾」

ものづくり塾は、エプソンが創出する「お客様価値」をこれまで以上に高めるために、基本的な技術・技能の継承に加え、ものづくりの具体的な仕事のステップを実践により体感することで、幅広く多面的に業務を遂行できるような人材の育成にも取り組んでいます。具体的には、製品を構成するさまざまなパーツを自らの技術で作り上げるための部品加工技術(成形・プレス)の基礎や、製造ラインの高効率化を目指すために必要な技術(省人化・自動化など)を体得させる教育を行っています。
また、地域・社会貢献として地域企業の新入社員実践研修、中学生・高校生の企業体験、技能体験授業の指導や厚生労働省からの要請を受けた海外の技能評価システム構築のODA(政府開発援助)への専門家派遣も行っています。

「自動ラインの構築・維持・向上」に向けたメカトロニクス研修の展開

従来、製造現場では、装置化・治具化などによる生産性改善活動を進めてきていますが、近年、急激な賃金上昇や製造離れによる労働力確保が困難になるといった環境変化が起きています。安価で豊富な労働力に頼るものづくりを前提とした従来のような改善の繰り返しでは、生き残れなくなってしまいます。そこで、できるだけ人手に頼らずに、安定的に生産ができる製造ラインの構築を実現するための取り組みを強く推し進めています。
ものづくり塾では、生産ラインを支える技術者育成の各種研修を年間約100回開催しています。装置作りに必要な機械製図・計測を始め、機械加工技能を習得する研修を行っています。また、自動化を推進する技術者を養成するための圧空・電気制御や装置組立・調整の基本など要素技術を学ぶ「メカトロニクス基礎研修」や、さらに実践的な技術・技能を習得するための「FAロボット研修」「画像処理研修」「メカトロニクス実践研修」といったカリキュラムを用意し、社員の学ぶ場と機会を提供しています。
国内の工機技術者、保全技術者の育成はもちろんのこと、主要製造拠点である海外現地法人に出向き、国内研修プログラムを基に海外現地法人の製造・工機保全のリーダークラスの育成を展開しています。

海外現地法人技能者の育成(フィリピン)

メカトロニクス実践研修

技能五輪を活用した若手技能者の育成

ものづくり企業であるエプソンは、製造に必要な知識・技能を早期に身につけた「尖った技能者※1」を育成するため、技能五輪訓練を活用しています。技能五輪に訓練生が挑戦できるのは1回を基本とし、短期集中訓練で全国レベルの技能習得を目指すものです。出場種目は、実業務に応用可能な「精密機器組立て」「プラスチック金型」「メカトロニクス」「電子機器組立て」「ウェブデザイン」「時計修理」の6職種を選択し、毎年10~15人が全国大会へ出場しています。
技能五輪訓練生としてものづくり塾に配属された新入社員は、やすりがけ・鋸刃切断などで「ものづくり」の基本を体感するとともに、各職種別に機械・電気などの基礎知識を学びます。訓練は日常実施される職種別訓練と合わせ、マラソン・目標設定などを行う強化訓練を年3回行い、チームとして連帯感の醸成を図っています。
また、全国大会を想定し、技能五輪に参加する他企業との合同訓練会の実施や「機械加工技能士」「電子機器組立て技能士」「ウェブデザイン技能士」「時計修理技能士」などの国家資格取得も盛んに行っています。技能五輪訓練終了後、五輪訓練で培った基礎技能から商品づくりのための技能にシフトすべく応用訓練を実施し、事業部へ配転されます。受け入れ先からは、期待を超える活躍に高い評価を得ています。

日々の訓練

第58回技能五輪全国大会(あいち大会)

*1 前例を突き破り革新的な技術やシステムを生み出す能力を持った技能者

2020年度教育実績データ

2020年度 研修名 受講者数
貿易管理教育_一般(2020) 17,332人
エプソンのコンプライアンス(2020) 20,891人
情報セキュリティー基本編(2020) 21,982人
環境基礎教育Ⅱ(2020) 18,626人
調達基礎 (下請法)(2020) 17,801人
J-SOX教育(2020) 隔年実施(次回は2021年度)
ハラスメント防止教育(2020) 17,128人
労働安全教育(2020) 17,721人
RBA基礎教育(2020) 20,907人
SDGsの基礎(2020) 19,535人
アンコンシャスバイアス研修(2020) 17,261人

* 2021年3月末までの受講者人数

階層別研修受講実績

研修名 対象者 受講者数 受講率
新入社員入社時集合研修 新入社員 344人 100%
C等級研修 新規C等級格付者 350人 98.3%
SSF研修 新任SSF 231人 97.4%
新任課長研修 新任課長 130人 98.5%
新任部長研修 新任部長 53人 93.0%

* 階層別研修受講データは、セイコーエプソン(株)2021年3月末現在
* 未受講者は2021年度に受講予定
* シニアスタッフ(役職ではなくチームリーダーレベル)

一人当たり研修時間

  単位 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
正規従業員一人当たり研修時間 時間 9.5 11.0 11.1 7.4

*セイコーエプソン(株)正規従業員の、人事部主催研修およびeラーニングの受講時間。各機能主管部門や事業部主催の教育・研修は含まない。