組織統治
エプソンは、企業行動原則「5.実効あるガバナンスとコンプライアンス」において、贈収賄、カルテル、インサイダー、利益相反などの不正取引を排除し、公正・透明・自由な競争ならびに適正な取引を実践することを定めています。
この原則を実践するため、社員が企業行動原則の実施事項を読み解き、どのように行動すべきかを示した「エプソングローバル社員行動規範」において、不適切な方法で利益を求めないこと、違反リスクにつながるような行為がある場合には、直ちに関係部門に報告することを求めています。
ビジネスパートナーに対しては、企業行動原則「7.ビジネスパートナーとの共存共栄」において、ビジネスパートナーとの関係における贈収賄・癒着を厳しく禁止し、ビジネスパートナー自身に対しても法令や社会倫理に反した取引慣行の排除、「ビジネスパートナー向け贈収賄・腐敗行為防止・競争法(独占禁止法)遵守ガイドライン」において、ビジネスのために贈賄行為を避けるよう強く求めています。そして、「エプソングループサプライヤーガイドライン」で、サプライヤーに対しエプソンは接待などに依存しないビジネススタイルを基本としていることを定めています。もしエプソン社員による違反する行為または違反するおそれのある行為を発見した場合は、速やかにエプソン各社に通知することを求めています。
エプソンによる贈賄を未然防止しなければならないとの取締役会の意思の下、「企業行動原則」および「エプソングループコンプライアンス基本規程」に基づき、贈賄防止に係る取り組み体制および遵守すべきルールを2014年に制定しています。
この規程では、社員が公務員などに対する贈賄を行ってはならないことのほか、社長を責任者とした贈賄防止体制の下で、各主管部門がさまざまな贈賄防止対応をとることを定めています。また、代理店を利用する場合には、代理店が贈賄行為をすることを指示、了解または補助しないことを定めています。
エプソンにおける腐敗防止活動は、「エプソングループ贈賄防止規程」に基づき、全体統括をコンプライアンス統括部門が行い、各主管部門が連携して、接待贈答、招待・招集、寄付、スポンサーシップ、代理店管理、採用などへの対応を実施しています。
エプソンは社内にコンプライアンス意識を浸透させるため、「エプソングローバル社員行動規範」に基づき、役員・社員に対して定期的にeラーニングや研修などを実施しています。
経営層に対しては、社外より専門家を講師として招き、コンプライアンスに関する研修会などを行っています。また、全社員を対象に、コンプライアンスに関するeラーニングや社内講師による研修を行っています。海外現法においては、各地の状況を踏まえたコンプライアンス教育などの諸活動を展開しています。
エプソンは、毎年10月を「コンプライアンス月間」と定め、社員一人ひとりが経営理念の実現におけるコンプライアンスの重要性を確認するとともに、海外の子会社を含めたグループ統一活動として、経営理念や企業行動原則をベースにコンプライアンス意識を高める活動を展開しています。
具体的な活動内容として、(1)コンプライアンス担当役員および各事業体・子会社の責任者によるコンプライアンスメッセージの発信、(2)社内報へのコンプライアンス特集記事の掲載、(3)エプソングローバル社員行動規範の周知活動、(4)コンプライアンス教育などを実施し、コンプライアンス意識の向上を図っています。
また、社員のコンプライアンス意識確認と次年度の活動に活かすため、10月のコンプライアンス月間終了後にアンケート調査を実施し、各社・組織の取り組み内容、活動に対する意見・提案などを集計・分析しています。
エプソンは、コンプライアンス活動をグローバルに展開するために、CCOを核としたR-CCO(Regional-CCO)体制という仕組みを構築し運用しています。地域によって言葉や文化、風習・慣習が違うことから、地域を統括する販売会社が担当する地域での活動をリードし、グループ各社が協力してコンプライアンス活動を行っています。そして、エプソンが目指すコンプライアンス経営の姿を設定し、その実現に向けて「グローバルコンプライアンスプログラム」を運用しています。このプログラムは、年度ごとに目標レベルを定め、グループ内の各組織・子会社の体制整備や運用状況を診断・評価・改善するサイクルを回すことで、コンプライアンスの方針・課題・施策を全社にいきわたらせ、目標達成に向けて取り組んでいます。
エプソンは、世界各国・地域に生産拠点・販売拠点を設け、グロ-バルに事業を展開しており、お客様・サプライヤーは全世界に広がっています。お客様にエプソンの商品やサ-ビスをタイミングよくお届けするために、貿易を円滑に行うことが不可欠です。
一方、国際社会には平和と安全を維持するために、さまざまな貿易管理の条約や枠組みがあり、国際社会の一員としてこれらを遵守することが求められています。
これらを踏まえ、エプソンは貿易管理の体制を整え、円滑な貿易の実施に総合的に取り組んでいます。この結果、国内外の関係当局が設けた貿易管理に関する制度やプログラムにかなう企業として、これまでに世界各地で以下のような認証を受けています。
「特定輸出者」承認書
「特例輸入者」承認書
エプソンでは、長年にわたる防災への取り組みだけでなく、2006年の液晶事業(当時)での事業継続計画(BCP)策定を皮切りに、事業継続マネジメント(BCM)の推進に取り組んでいます。
災害などによりエプソンの生産拠点に被害が生じた場合、まず社員の安全確保を図り、次にお客様にご迷惑をおかけしないよう、商品の供給継続を図ることが基本的な方針です。水晶・半導体デバイス製品、プリントヘッド、小型液晶パネルなどの基幹要素部品および消耗品を中心に各商品を安定して供給し続けるため、被害軽減対策、修理部品の確保、代替生産の対応、復旧手順の確立などを進めるとともに、訓練を通じて手順および有効性の確認に努めています。業務の継続に不可欠な基幹ITシステムや重要データは堅牢(けんろう)なデータセンターに集約し、バックアップを確保して災害に備えています。また、国際間の輸送手段の途絶に対して代替ルートへの切り替えを遅滞なく行えるように、複数の物流ルートを確保しており、さらに財務・経理・広報など、主要なコーポレート機能についてもBCPを策定し、非常時の継続を図っています。
地震を想定した机上訓練
一方、多数のサプライヤーによって構成されるサプライチェーンに関しても、各社にBCPの定着状況について情報をいただき、その強化をお願いしています。調達品目を精査し、重要調達品に対してはマルチソース化を進め、複数のサプライヤーが確保できない場合は在庫を確保するなど、サプライヤーに万が一のことがあった場合の生産継続体制づくりに努めています。
今後も、各事業・各拠点のBCPの継続的な改善を含め、事業継続力の強化を図っていきます。
関連情報:有事対応力評価(CSR調達の取り組み)
クリーンルーム内で、
製造装置の復旧手順を確認
エプソンは、グローバルに事業展開するなかで、世界各国・各地域において税務法令とその精神を遵守して適正な納税を行い、企業としての社会的責任を果たすことを、税務基本方針としています。この税務基本方針に従い、税務コンプライアンスを維持向上していくために、次の取り組みを行っています。