のこぎりを使って、一言も発さずに、一心不乱に棒状の鉄の塊を切り落としていく若者たち。いったい何をしているのだろうか。


実はこれはエプソンの新入社員研修の一場面。汗水を垂らすような仕事をしてはじめて給料をもらえるということや、基本を守り安全性を確保することの重要性、金属は削れ、切れる素材であることなどを実体験しているのだ。一見、単純な作業だが、のこぎりをひき続けた一日が終わるころには、新入社員は多くのことを学びとっているはずだ。
プリンターやプロジェクターのメーカーであるエプソンでは、新入社員研修の中に10日間にわたる「ものづくり実践研修」を組み込んでいる。受講対象者は、製造現場には配属されないスタッフも含め、新入社員全員だ。
この研修に込められた、エプソンの「ものづくり」への強い思いと、研修の様子をご紹介しよう。
エプソンは、省エネルギー、小型、高精度といった特長を持つ商品開発を通じて培った「省・小・精の技術」と、自社で量産することによって蓄積した「技能」の2つを合わせたものづくり力を持っていることが最大の強みだと考えている。優れた「技術」があるから、お客様に驚きや感動を与えられる最先端の商品を開発することができ、優れた「技能」があるから、お客様に高品質の商品を安定的にお届けすることが可能になる。
お客様にとって価値ある商品を提供し続けるためには、この「技術」と「技能」を次世代に受け継ぎながら、さらに磨きをかけていかなければならない。特に、製造現場が世界各地に広がっている中にあっては、蓄積してきた技能を散在させることなく、確実に継承していくことが肝要だ。
こうした「ものづくり」に対する真摯な思いが、新入社員研修の中の「ものづくり実践研修」に表れている。新入社員には、単に頭で学ぶだけでなく、体と心で、エプソンのDNAとして脈々と受け継がれてきた「ものづくり」の精神を感じとってほしいと考えている。


エプソンの主柱事業であるプリンターの組み立て作業を体験し、プリンター構造の基礎を理解するとともに、QCD(Quality/品質、Cost/価格、Delivery/納期)などの仕事の基本や効率的な「ものづくり」について学ぶ。


エプソンの始まりは1942年の腕時計事業。腕時計の分解・組み立ての実習から、エプソンの強みである「省・小・精の技術」を体感し、自社への理解を深める。国内有数の卓越した技能者である「現代の名工」も新入社員を指導する。


ボールペン工場という想定で、分解・組み立て・検査の効率性を追求する研修。体感を通じて、チームで働くことの大切さと、生産ラインの効率化・採算の基礎について学ぶ。