"いつでもどこでも映像などのコンテンツを大画面※2で楽しめる" がコンセプトの、持ち運びが容易なシースルータイプのヘッドマウントディスプレイ。
わずか240g※3の軽くて小さな製品の中には、エプソンの技術力が結集されている。

従来の民生用ヘッドマウントディスプレイでは、映像などのコンテンツを視聴しようとすると、視覚と聴覚が外界から切り離されてしまい、周囲の様子を知ることができなくなってしまっていた。例えば、電車内で視聴するときには、周りの景色が見えず、アナウンスも聞こえないため、うっかり乗り過ごしてしまう、という可能性もあったのだ。
MOVERIO 「BT-100」は、これまでにはない、場所を選ばず大画面を楽しめるディスプレイを目指し、
をコンセプトに、2009年末に開発をスタートした。
「BT-100」では、シースルーで映像を楽しむことができる
「BT-100」がシースルーで像を見ることができるしくみを、図1を使って説明しよう。メガネのつるにあたる部分に配置された高温ポリシリコン(HTPS)液晶パネルの映像が、投写レンズで拡大され、導光板内を通り、最後にハーフミラーで反射されて瞳に届く。ハーフミラーは光の一部を反射し残りを通過させる役割を果たしているため、外界からの光の強さとバランスをとることで、周囲の様子と液晶パネルからの像が同じ視界の中で見えるようになっているのだ。
(図1)シースルーで映像を見ることができるしくみ

最大の課題は、映像光を通す導光板の製造だった。ナノメートル(10億分の1メートル)単位の誤差も許さない精度の高い成形技術がなければ、この形状は実現できなかったが、これまでプリンターやプロジェクターで培ってきた高精度の成形技術を応用することで、クリアすることができた。さらに、導光板とリム(左右二つの導光板をつなぐ部分)との接続や、これらを接続した状態でのハードコーティングにも、部門間の枠を超えた技術協力により、シースルーを実現することができたのだ。
「BT-100」は、外出先での視聴も主な用途のひとつだ。その際に重要なのがバッテリーの駆動時間だが、例えば、像を明るくしようとすると、消費電力が大きくなり、駆動時間と機能はトレードオフの関係になってしまうという課題があった。そこで、使っていない機能には電力を供給しないようにするなど、パワーマネジメントを最適化することで、6時間の駆動時間を実現した。
また、ヘッドセットとコントローラーを結ぶケーブルも、低パワー化が可能な通信規格を採用している。ケーブルの中には32本もの電線が通っているが、取り回しをスムーズにするために、電線の巻き方などに工夫を施し、直径3.7ミリという細くて柔らかいケーブルにすることができた。
長時間装着するには、装着感も重要な要素だ。部品の厚みを薄くして、ヘッドセットのフレームを軽量化したり、つるのバネの力を強くすることで、頭に安定して固定できるようにするなどの工夫が施されている。しかし、つるが強く締めすぎると、装着中の負担が大きくなるため、内側にクッションをつけるという配慮も忘れていない。
また、世界中のお客様に使っていただくために、鼻パッドも3種類の形状を同梱し、最適なものを選んでもらえるようになっている。
フレームのつるの裏側にあるクッション(丸で囲った部分)