ニュースリリース
2018年5月17日
セイコーエプソン株式会社

次世代の消防救助用ウエアラブル機器『スマートマスク/スマートゴーグル』コンセプトモデルを共同開発

- 救助活動の見える化に、スマートグラス「モベリオBT-300」の技術を応用 -

セイコーエプソン株式会社(本社:長野県諏訪市、社長:碓井 稔、以下エプソン)は、一般財団法人日本消防設備安全センターが主催・運営する「G空間情報※1を利用した救助システム及び消防活動に関する検討会」に参画し、このたび、次世代の救助システム『STAR RESCUE SYSTEM®』の消防救助用ウエアラブル機器として、エプソンのスマートグラス「モベリオBT-300」の技術を応用した『スマートマスク』ならびに『スマートゴーグル』のコンセプトモデルを共同開発しました。

近年、都市構造の大型化、高層化あるいは深層化が進み、大規模で広大な空間を擁する地下街や商業施設などが増えています。また、超高齢化社会の進展により、潜在的な災害弱者も増加しています。このような環境下において消防力の強化は図られてきていますが、ひとたび大規模な建築物や地下街で火災などの災害が発生すると、その救助活動は困難を極めます。この喫緊の課題を解決するため、一般財団法人日本消防設備安全センターが核となり、総務省消防庁や全国の消防本部をはじめ、産官学の専門家や事業者が集まり、「G空間情報を利活用した救助システム及び消防活動に関する検討会」が立ち上げられ、2014年4月からその検討を開始しました。

本検討会では、最先端のG空間情報技術とICT技術を駆使し、災害発生と同時に高層建物や地下街などにいる逃げ遅れ者の迅速救助を目的に、屋内にいる人が持っているスマートフォンの位置検出を検討しました。また、災害時、閉鎖空間に発生する濃煙や停電で視界が妨げられる環境下で、効率的かつ、安全な消防活動が行えるよう、スマートグラスや赤外線カメラなど最新機器を活用して、周囲の状況や自分の状況が視認できる消防救助用マスク/ゴーグルの開発を進めてきました。そして、4年を超える検討・開発を経て、あたかも屋内を透視するように把握ができ、救助活動を飛躍的に向上させる、次世代の救助システム『STAR RESCUE SYSTEM®』のコンセプトモデルの製作に至りました。

※1:G空間情報:「空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報」または位置情報及び「位置情報に関連づけられた情報」からなる情報で「地理空間情報」と同義。「G」は「Geospatial(=地理空間の)」に由来。

『STAR RESCUE SYSTEM®』 (See Through Augmented Reality RESCUE SYSTEM) とは

建物内や地下街などにセンサー(Beacon)を活用した「位置情報システム」を設置し、普段はお客様の誘導や道案内、広告など商用に使います。災害時はスマートフォンの位置情報を消防隊が利用することで、建物内に取り残された人数や場所などの情報を事前に把握します。また、救助活動にあたる隊員の位置や状況も把握でき、要救助者の位置を確認しながら組織的に迅速かつ効果的な救助活動を可能とします。これにより、国民の生命及び安全性に対する飛躍的な向上が期待されます。

【『STAR RESCUE SYSTEM®』コンセプトモデル(ハード・システム)の概要】

  1. 『スマートマスク』 (担当企業:セイコーエプソン株式会社、株式会社重松製作所、エア・ウォーター防災株式会社、国際航業株式会社、小林防火服株式会社、櫻護謨株式会社)

    『スマートマスク』は、エプソンのスマートグラス「モベリオBT-300」を組み込んだ新型マスクです。

    本マスクは、無線により隊長の手元にある情報端末と交信を行います。隊長は、情報端末で隊員が置かれている状況を確認でき、現場情報の共有化が可能になります。グラスには、隊長からのテキストによる指示、赤外線カメラの映像、空気呼吸器の残量、時間経過及び方位が表示されます。また、赤外線カメラの使用により、暗闇の中での要救助者の位置や高温場所の確認もできます。


    『スマートマスク』外観


    『スマートマスク』内面


    グラス部分の表示イメージ

  2. 『スマートゴーグル』 (担当企業:セイコーエプソン株式会社、国際航業株式会社)

    『スマートゴーグル』は、エプソンのスマートグラス「モベリオBT-300」を組み込んだゴーグルです。『スマートマスク』と比べ、外観は軽装備仕様となっていますが、グラス部分の情報表示機能は同一で、指揮隊の情報端末と無線交信もでき、現場情報の共有も可能です。


    『スマートゴーグル』外観

  3. 『位置測位システム』 (担当企業:株式会社ジェナ、日本電気株式会社、ニッタン株式会社)

    スマートフォンに組み込んだアプリケーションソフトで、建物内の感知器などに併設したビーコンの位置情報を取得し、それをスマートフォンからサーバーに送信します。サーバーでその位置情報を平面図上に表示し、PCやタブレットに送信します。これにより、GPSなどの届かない屋内や地下街などの閉鎖空間での人の位置を測位することができます。

今回、東京ビッグサイトにて開催される「東京国際消防防災展2018」(FIRE-SAFETY TOKYO)(会期:2018年5月31日(木)~ 6月3日(日))、一般財団法人日本消防設備安全センターブース(東6ホール 小間番号:6-21)においても、本防災システムを出展、体験会も行いますので、ぜひご来場ください。

【協力団体・企業一覧(順不同)】

東京理科大学、立命館大学、名古屋大学、秋山国際特許商標事務所、総務省消防庁、全国消防長会、さいたま市消防局、東京消防庁、千葉市消防局、大阪市消防局、北九州市消防局、一般社団法人東京防災設備保守協会、三菱地所株式会社、清水建設株式会社、戸田建設株式会社、裕幸計装株式会社、綜合警備保障株式会社、ソフトバンクグループ株式会社、日本電気株式会社、株式会社日立製作所、株式会社重松製作所、国際航業株式会社、エア・ウォーター防災株式会社、櫻護謨株式会社、ニッタン株式会社、小林防火服株式会社、株式会社ジェナ、TOA株式会社、一般財団法人日本消防設備安全センター、セイコーエプソン株式会社

■関連リンク

エプソン「モベリオ」商品紹介WEBサイト
www.epson.jp/products/smartglasses/

「一般財団法人日本消防設備安全センター」WEBサイト
http://www.fesc.or.jp/

「東京国際消防防災展2018」WEBサイト
http://www.fire-safety-tokyo.com/jp/index.html

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。