ニュースリリース
2018年4月3日
セイコーエプソン株式会社

自動運転・自動制御などに最適なIMUのサンプル出荷開始

- FOGクラス性能『M-G370』、次世代スタンダード『M-G365』2機種 -


『M-G370』(コネクター面)


『M-G365』(マーキング面)

セイコーエプソン株式会社(本社:長野県諏訪市、社長:碓井 稔、以下エプソン)は、このたび高性能な6軸センサーの慣性計測ユニット(IMU)※1の新製品『M-G370』および『M-G365』を開発、サンプル出荷を開始しました。両機種ともに、2018年末の量産を予定しています。

エプソンは2011年にIMU製品を発売して以来、さまざまなアプリケーションに採用され、多くの実績と高い品質により、市場から高い評価を得ています。近年、精密農業・ICT建機・無人機などの自動運転・自動制御のニーズが高まっており、今後の本格的な自動運転を実現するために必要なFOG※2クラス性能と高品質・量産性に優れた新製品を開発しました。また、従来製品(M-G364/354)と上位互換性を維持しているため、容易に性能のアップグレードが可能です。

【新製品の特長】

■『M-G370』/『M-G365』共通

  • ワイドダイナミックレンジかつ高安定・低ノイズを両立した新開発の高性能センサーを搭載
  • 静止状態から高速動作まで高精度に計測する優れた動的性能(感度直線性)を実現
  • 従来製品(M-G364/354)と上位互換性を維持し、お客様の開発コスト・評価期間を大幅に削減可能
  • 低消費電流 16mA(従来製品M-G364/354:18mA)を実現

■『M-G370』

  • FOGクラス性能を1インチサイズで実現したエプソン最上位機種IMU
  • 高精度な位置計測が必要な自動運転・無人運転などの慣性航法アプリケーションに最適
  • 新開発ジャイロセンサー※3:ジャイロバイアス安定性※4(0.8°/hr)、角度ランダムウォーク※5、ノイズ性能などを大幅に向上
  • 新開発加速度センサー:加速度バイアス安定性能の大幅向上6uG(従来品M-G364:50uG)加速度初期バイアス誤差2mg(1σ)を実現

■『M-G365』

  • 新たに姿勢角出力機能を搭載し、幅広いアプリケーションに対応した次世代スタンダードIMU
  • 拡張カルマンフィルター※6を高速演算処理可能なオリジナルDSP※7搭載により、低消費電力で高精度な姿勢角(Roll/Pitch/Yaw)※8をリアルタイムに出力
  • システム本体側で動的姿勢角度の高速演算処理が不要となり、システムの負荷・消費電力を削減可能

■アプリケーション例

自動運転・自動制御(精密農業・ICT建機 など)、無人機(産業ドローン・地上車・海底探査 など)、ナビゲーションシステム(GNSS※9INS※10、高精度ロケータ)、カメラ・アンテナなどの制振制御、産業機器・車両の振動・角度・軌道計測、など

■本製品の概仕様

製品型番 M-G370 M-G365
検出範囲 3軸ジャイロセンサー ±450 °/sec
3軸加速度センサー ±4G / ±10G
精度・安定性 ジャイロバイアス安定性 0.8°/hr 1.8°/hr
角度ランダムウォーク 0.06°/√hr 0.08°/√hr
感度直線性 3軸ジャイロセンサー 0.05 %FS(<300 °/sec)
3軸加速度センサー 0.1 %FS(<5 G)
出力分解能 16 / 32bit
デジタルシリアルインターフェイス SPI / UART
工場出荷時での内部補正
(補正温度範囲:-40~85℃)
バイアス、感度直線性、軸間アライメント
出力データレート ~ 2,000 Sps
校正・動作温度範囲 -40℃ ~ +85℃
消費電流 16mA @ 3.3V
姿勢角出力機能 - 傾斜角(X/Y軸)、
オイラー角(Roll/Pitch)
その他の機能 外部トリガー入力など
サイズ 24 x 24 x 10mm
重量 10g

※本概仕様は、予告なく変更される場合があります。

【関連リンク】

本製品の詳細情報は下記ホームページをご参照ください。なお、ホームページからのお問い合わせも可能です。

URL:https://www.epson.jp/prod/sensing_system/

【お客様のお問い合わせ窓口】

セイコーエプソン株式会社 MSM推進プロジェクト 電話:0266-61-0614(直)

セイコーエプソン株式会社 営業本部 デバイス営業部 電話:042-510-5775(直)

【用語説明】

  1. ※1:慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit:通称IMU)
    3軸の角速度センサーと3方向の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置
  2. ※2:FOG(Fiber Optical Gyro)
    光ファイバー式ジャイロを使用した高性能IMU。ジャイロセンサーの方式の一つ
  3. ※3:ジャイロ(角速度)センサー
    基準軸に対する、物体の単位時間当たりの回転角度(角速度)を検出するセンサー
  4. ※4:ジャイロバイアス安定性(Gyro Bias Instability)
    指定された有限のサンプル時間と時間間隔の平均より計算されるジャイロ出力バイアスの1/fノイズ密度の特徴を持つ不規則変動量
  5. ※5:角度ランダムウォーク
    指定された有限のサンプル時間と時間間隔の平均より計算されるジャイロ出力バイアスのランダムノイズ密度の特徴を持つ不規則変動量
  6. ※6:拡張カルマンフィルター
    モデルに基づく予測値と実際の観測値から、最も確からしい値を逐次的に計算するフィルター誤差を含んだ観測値からより正確な情報を推定する手段として利用される
  7. ※7:DSP(Digital Signal Processor)
    デジタル信号を高速に処理する演算回路
  8. ※8:姿勢角(Roll/Pitch/Yaw)
    ・Roll角:物体の前後を回転軸とする回転角
    ・Pitch角:物体の左右を回転軸とする回転角
    ・Yaw角:物体の上下を回転軸とする回転角
  9. ※9:GNSS(Global Navigation Satellite System)
    全地球測位衛星システム
  10. ※10:INS(Inertial Navigation System)
    慣性航法装置

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。