ニュースリリース
2018年3月5日
セイコーエプソン株式会社

温度補償水晶発振器(DTCXO)内蔵のリアルタイムクロックモジュール、サンプル出荷開始

- 従来品から消費電流を50%削減し、動作温度範囲も拡大 -


温度補償水晶発振器(DTCXO)『RA8804CE』画像(左)と『RX8804CE』

セイコーエプソン株式会社(社長:碓井 稔、以下エプソン)は、温度補償水晶発振器(DTCXO※1)を内蔵したリアルタイムクロックモジュール※2の新ラインアップとして、『RA8804CE』『RX8804CE』を開発し、このたびサンプル出荷を開始しました。

パッケージサイズは、当社リアルタイムクロックモジュールで最小の3.2×2.5×1.0t(Max.)mmで、AEC-Q100※3に準拠した車載向けの『RA8804CE』および、産業用途向けの『RX8804CE』をラインアップ、お客様の電子機器の高精度な計時の実現と小型化・低消費電流化にお応えします。

近年、スマートグリッド機器や課金装置、セキュリティ機器などの産業用途向けとして、時刻情報を基に稼働する多くのシステムやアプリケーションでは、高精度な時刻情報の保持を必要とされています。また、車載機器や屋外設置機器など、周辺温度変化の激しい環境下で使用される市場からも、高精度な時刻情報の保持が求められています。さらに、電子機器の集積化や小型化の加速、お客様の環境負荷低減の意識向上も背景に、さまざまな市場においてデバイスの低消費電流化・幅広い動作温度範囲・高信頼性への要望が高まっています。

しかし、水晶振動子、発振回路、時計用ICの組み合わせからなるリアルタイムクロックモジュールは、一般的に、低消費電力化と高精度化がトレードオフの関係にあり、精度の維持・向上が難しくなる傾向にあります。そこでエプソンは、技術力の源泉である「省・小・精の技術」をベースに、独自の強みである、小型で高精度な音叉型水晶振動子を製造できるQMEMS※4技術、その振動子を低電力で駆動させる新設計のIC回路設計技術によって、消費電流の削減と動作温度範囲の拡大を実現しました。

新製品『RA8804CE』『RX8804CE』は、当社従来品(RX8900CE)と比較して、消費電流は0.7µA(Typ.)から0.35µA(Typ.)へ50%削減し、動作温度範囲は85℃から105℃に拡大。さらに、プログラマブルな拡張割り込み※5機能、タイムスタンプ機能と24ビットタイマーを新たに搭載し、CPUの動作負荷の低減をサポートします。

それぞれ、製品出荷時に1品ごとに時計精度を調整・保証したうえでお客様にお届けします。このため、時計精度の調整確認不要になり設計の効率化・品質の向上に貢献します。

今後もエプソンは、水晶デバイスのリーディングカンパニーとして、独創の技術を活用し、お客様の安心・安全・快適に寄与してまいります。

■本製品の主な仕様

製品型番 RA8804CE RX8804CE
温度補償動作電圧範囲 1.5V(Min.)
計時電圧 1.5V(Min.)
計時電流 0.35µA(Typ.)
周波数安定度 -40℃~+85℃ ±3.4×10-6(XA)
±5.0×10-6(XB)
+85℃~+105℃ ±8.0×10-6
動作温度範囲 -40℃~+105℃
インターフェース I2C 400kHz
新機能
  • 拡張割り込み:SOUT端子
  • トリガー入力付きタイムスタンプ
  • 24ビットタイマー(244µsから最長32年間)
準拠車載規格 AEC-Q100 -
外形寸法(mm) 3.2×2.5×1.0t(Max.)

【本製品に関するお問い合わせ先】

セイコーエプソン株式会社 営業本部 デバイス営業部 電話:042-587-5315(直)
本製品の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。

RA8804CE:www5.epsondevice.com/ja/products/rtc/ra8804ce.html

RX8804CE:www5.epsondevice.com/ja/products/rtc/rx8804ce.html

【用語解説など】

※1 DTCXO

「Digital Temperature Compensated X'tal(crystal) Oscillator」の略で、水晶振動子の温度に対する周波数の変化を補正する機能を持った水晶発振器・発振回路。TCXOは温度変化に関わらず高精度な周波数を出力するために、温度センサーの信号を基に出力周波数を補正する回路を搭載した発振器で、中でもDTCXOは周波数をデジタル的に補正する回路方式を用いています。

※2 リアルタイムクロックモジュール

時計・カレンダー機能などを持ったリアルタイムクロックICと32.768kHz水晶振動子を一つのパッケージに内蔵した製品。これにより、発振回路設計、時計精度調整が不要になるとともに、お客様における回路基板のスペース効率を向上できるメリットがあります。

※3 AEC-Q100

AECは「Automotive Electronics Council(車載電子部品評議会)」の略で、米国の大手自動車メーカーと大手電子部品メーカーが集まって作られた、車載用電子部品の信頼性や認定基準の規格化のための業界団体。車載向け電子部品の規格として広く採用されているAEC規格は、事実上の業界標準になっています。

※4 QMEMS

高安定・高精度などの優れた特性を持つ水晶素材である「QUARTZ」と、「MEMS(微細加工技術)」を組み合わせた造語。半導体を素材としたMEMSにならって、水晶素材をベースに精密微細加工を施し、小型・高性能を提供する水晶デバイスを「QMEMS」と呼んでいます。

※5 拡張割り込み機能

『RA8804CE』『RX8804CE』は新たに搭載されたSOUT端子を中心に従来製品の割り込み機能が大幅に拡張されました。

SOUT端子は電圧検出フラグ、時刻更新フラグ、EVIN検出フラグ等を選択してその値を出力できます。また、ソフトウエアでHigh/Low出力を指定可能な汎用出力ポートとしても利用可能でシステムに応じた最適な動作をソフトウエアで設定できます。

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。