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山下 恒夫「日々III」

会期:2016年10月28日~11月17日 日曜休館 展覧会情報

少年時代から身近な出来事にレンズを向けてきた山下恒夫。
私的なまなざしの中からにじみ出る写真の力を、インクジェットプリントで表現する。

©Tsuneo Yamashita

Interview インタビューコメント

「日々カメラを持ち歩き、目についたシーンを切り取ってきました。身近な場所を中心に、私的な動機で出かけ、私的な興味からシャッターを切っています。過去に同タイトルの写真展を2度開催し、その第3弾にあたります。
今まではモノクロフィルムで撮影していましたが、今回は2012年以降にデジタルで撮ったカラー作品を展示します。当初、このシリーズはフィルムで撮ろうと考えていましたが、『日常』を撮るには手軽にシャッターを切れるデジタルカメラのほうが合っていると気が付いたのです。デジタルだと暗いシーンにも躊躇せずカメラを向けられるので、撮影枚数も多くなりました。
初めて自分のカメラを持ったのは小学4年生の頃。固定焦点のインスタマチックカメラで身の周りを撮り始めました。友だちや家族、ご近所さんにカメラを向けていました。ある程度大人になってから写真を始めた人なら、有名写真家に影響を受けたとか報道写真に目覚めたことがきっかけになりますが、僕は身の周りを撮ることが写真の根っこになっていて、それが今も続いているのです。友人には『昔から撮るものが変わらない』と言われます。

展示作品のセレクトは『1枚で見せても観賞に堪えうるもの』を基準にしています。選ぶときの気持ちによっても変わってくるので、開催までにベストな構成に持っていきたいです。
インクジェットプリントによる個展は初めてです。プリントも自分で行います。モノクロで撮っていたときには、撮るたびに現像・プリントをしていましたが、デジタルになってからはデータがたまっていくばかりでした。それが、今回の写真展をきっかけにプリントしてみたところ、写真をモニターで見るのとプリントして見るのとでは全然違うと実感しました。プリントすることで『素材』が『写真』になるのです。以後、撮ったらプリントをするようになりました。
用紙は印画紙に近いトーンで再現できるものを選ぶつもりです。用紙の風合いで作品に個性を出したりせずに、『普通』でありたいと思っています。被写体も普通、カメラも普通。ノーマルなところを貫いた上で1枚1枚の『写真の力』を見せることができたらいいと思っています」


©Tsuneo Yamashita

スポットライト選考理由

その場に応じて撮ったスナップ。「王道」と言ってもいいような上手い作品。撮り方に嫌味がなく、好感が持てる。時代性のようなものが、忠実に、丁寧にとらえられている。被写体との距離の取り方が一定で、少し引いた目で見ている感じがする。応募時のポートフォリオの編集能力も高い。淡々と展示するだけで、面白いものになると思う。

2016年5月選考

山下 恒夫氏

やました つねお Tsuneo Yamashita

1961年、東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。
写真集に『島の時間』『もうひとつの島の時間』『島想い』などがある。