”思い出写真”の個性的なまとめ方

旅行やイベントのたびに写真を撮るけれどデータはパソコンに眠ったまま、という方が多いようです。せっかくの思い出のシーンの数々、あなたらしい“形”を与えて残しましょう。

思い出写真も見せて残す

旅行先で撮ったお気に入りの風景、友人や家族とのイベントで撮った思い出のスナップ、子どもやペットのかわいい瞬間など、プリントしてアルバムにまとめようと思いながら、はや何年……そんな写真ありませんか。

そういう写真こそ、「スペイン旅行」とか「○○くんの運動会」などテーマごとにまとめてあって、ふと手に取れるところに置いてあると、とても楽しいものです。場を和ませ、親しい人との会話を弾ませるアイテムになってくれます。

大事なのは、プリントしただけのバラの状態で置いておかずに、形を与えてまとめておくことです。プリントにひと手間加えて、すてきに残しましょう。

今回は、写真を使った雑貨製作などでご活躍のsaorinさんにご協力いただき、その具体例をご紹介します。

束ねたポストカード

ポストカードサイズにプリントした写真を、15枚ほどの束にし、自作の帯を巻いています。余白部分に、撮った日付とコメントを添えておくとよいでしょう。帯はインクジェットプリンター対応のトレーシングペーパーを使い、そこにタイトルを記しています。

Point

ポストカードの角を角丸パンチという道具を使って丸くカットしています。これだけでやわらかい雰囲気に仕上がります。何気ない日常の記録をこのようにしてまとめ、日記帳代わりにするのもいいと思います。写真が増えたら帯に「第2弾」と記して、増やしていくのも楽しいでしょう。

キャンバスフォトボード

絵を描くためのキャンバスに、A5サイズとポストカードサイズにプリントした写真を貼り付けました。この方法では、写真の並べ方が一番重要です。ここでは軽快なパリでのスナップをまとめているのでランダムに貼り付けていますが、モノクロのシックな写真ならば整然と並べるのもいいと思います。テーマに合わせた並べ方を模索してみましょう。

Point

ランダムだけれどもバランスよく写真を並べるのは、実はとても難しいものです。写真の大きさをすべて同じにせず、1つか2つ、大きなプリント(例ではエッフェル塔の写真)を入れると、バランスが取りやすくなります。また、同じ色味の写真が隣り合わないようにすると、全体にメリハリがつきます。また、タイトルやテーマを記したものを、一緒に貼り付けておくのもおすすめです。

名刺用紙でアコーディオン写真集

名刺をつくるための市販の用紙を使って、アコーディオン型のミニブックにしています。立てて飾ってもいいし、折りたたんで置いておくこともできます。多くの名刺用紙はA4で10枚取れるようになっているので、10カットの写真をプリントし、下図の点線部分で切り離して横につなげています。折りたたんだときのために、両端の裏面に色紙を貼り、ゴムひもを付けています。このゴムひもをくるりと回せば閉じておけます。

名刺用紙に10カットをプリント。余白部分(矢印)をのりしろとして使い、貼り合わせています。

さらに、こんな工夫も…

さらにケースを付けると、より個性的に。ミニブックに巻き付けられる程度の紙があればつくれます。表面に小さな写真を配すると、表紙のような役割も果たします。

Point

ポルトガル旅行のときの写真です。出来事を順を追って並べました。このアコーディオン型は時系列で見せるのに適しています。名刺用紙は、切り取り用のミシン目が入ったものを使うと、折り目がきれいにつけられます。本体にもケースにもヒモを取り付けていますが、リボンで結ぶなど方法はいろいろあります。

A4シンプルフォトブック

A4サイズにプリントし、二穴パンチで穴を開け、市販の書類用ファスナーやリングで綴じました。グレーのほうは厚紙を表紙に使い、そこに小さな写真を貼り付けています。赤いほうの表紙は、薄い紙を使いあえて一枚目の絵柄が透けるようにしています。

Point

プリントする際、綴じる部分にあたるところの余白を多めにとっておくと、中面がバランスよく仕上がります。今回はモノクロのスナップで落ち着いた雰囲気のフォトブックに仕上げたかったので金属製の書類用ファスナーやリングを使っていますが、これ以外にいろいろな材質・色のものがあります。テーマに合わせて選ぶとよいでしょう。

これをベースにどんどん工夫しよう

このようにしてまとめておけば、そのまま飾れる上に、すぐに誰かに見せることができます。モニタでデータを見せるよりもずっと温かみがありますし、あなたの個性も発揮できます。

材料になるものも、必ずしも買ってくることはないのです。例えば、3でケースに使用したのは梱包に使われていた厚紙で、波形の模様がきれいだったのでとっておいたものです。また4で使用しているグレーの表紙は、用紙のパッケージに同梱されていた折れ防止の厚紙です。アイデア次第で、材料は家の中にも見つけられるのです。

今回はいずれも、できるだけシンプルな方法、少ない手順でできることをご紹介しましたが、実践いただけたならその後はさらに一歩進めて、ここに独自の工夫を加えてみてください。時間と手間をかけるほどに、より個性的で面白いものが出来上がると思います。

監修:saorin

浅草橋にあるアトリエギャラリー、写真企画室ホトリ室長。“写真を形あるものに残そう”をコンセプトに、写真雑貨制作やワークショップなど、写真にまつわる様々な企画・活動を行っている。著書に『写真でつくる雑貨』『フォトブック レシピ』『たいせつなものを撮ろう、残そう 』などがある。2015年6月に、最新著書となる『写真を楽しむ133のネタ帖』を出版。
http://fotori.net