”さりげなく”写真を飾る

お気入りの写真、飾っていますか? 立派な額に入れてどーんと見せるのもいいですが、
お部屋のちょっとした場所にさりげなく飾っておく、そんな見せ方もいいですよね。

お金も手間もかけずにできる

さりげなく写真が飾ってある部屋って、すてきですよね。でも、いざ自分の写真を飾ろうと思うと、頭に浮かぶのはこんな懸念ではないでしょうか。「かっこよく飾れるのだろうか」「額や専用の道具が必要なのでは?」「写真を自慢しているみたいに見えるのは嫌だな」などなど……。
わかります。でも心配には及びません。高価な額縁を買わなくても、時間をかけなくても、すてきに飾る方法があります。空間に馴染みつつも自然に目にとまる“さりげない”写真の飾り方をご紹介しましょう。
今回監修していただいたのは、イラストレーターでクラフト作家の井上陽子さんです。具体的な飾り方とそのポイントを、井上さんのアドバイスと共にご紹介していきます。

スケッチブックにクリップ留め

市販のスケッチブックにプリントをクリップで留め、それを立てかけただけです。ちょっとした棚の上やデスクまわりなどに、自然に置けます。スケッチブックはリング綴じのものを使い、表紙の裏側にあたるところを前面にして使用します。

Point

スケッチブックの裏表紙の色と写真の色味とのバランスを考えましょう。クリップは大きいものが使いやすいです。

ピンナップ風に壁に貼る

L判やハガキサイズくらいにプリントして、画鋲やマスキングテープで壁に留めています。大きな壁面がなくても簡単に飾ることができます。マスキングテープは留めるためだけでなく、見せる道具でもあります。色や柄を選び、貼り方もいろいろ工夫してみましょう。また、この写真の右上にあるように、写真立ての額縁だけ(ガラスや台紙は使わない)をプリントの周りに置くという使い方もできます。簡単なのにとても印象的になります。

Point

写真は1枚だけでなく、複数をランダムに配置すると格好がつきます。左上と右下に貼ってあるのは、イラストと版画のポストカードです。このように写真だけでなくほかの素材を交ぜて飾ると、雰囲気のあるコーナーになります。

画鋲やマスキングテープは、文具店や雑貨店、カメラ用品店などで買えます。たくさんの種類があるので、いろいろ試してみるといいでしょう。

箱に入れる

木箱にプリントをたくさん入れて置いておく、それだけでインテリア雑貨になります。乱雑に置いてある小さな写真の束は、来客からの注目を集めやすく、「これは何?」「どこで撮ったの?」などと会話を弾ませます。

さらに、こんな風にも

このような木箱は、蓋が取り外せるものであれば、中に写真を貼り付け、立てて置くという飾り方もできます。木箱をフレームに見立てた使い方です。

Point

この木箱は雑貨店で1000円くらいで購入し、蝶番を外して使用しています。きれいな箱より、古いものや独特な風合いがあるものが飾りやすいと思います。

パネルを使う

この黒い板は絵を描くときに用いられる木製のパネルで、それをアクリル絵の具で黒く塗っています。これは裏面で、裏面は真ん中に木が渡してあるのでそれを活用し、写真を2段で貼り付けています。これを壁面に吊したり立てかけておくだけで、カジュアルでも存在感のある演出ができます。もちろん、パネルの表面に写真を貼るという方法もありです。

元は白木のパネル。これをアクリル絵の具で黒く着色。パネルやアクリル絵の具は画材屋さんで数百円で購入できますし、刷毛は100円ショップのもので大丈夫です。

Point

ここで飾っている写真は廃墟をとらえたものですが、そこで拾った物を並べて置いています。撮影した場所やそのときの思い出の品を一緒に飾るのも一つの方法です。

工夫のしどころ

いずれの飾り方も、大した時間もお金もかかりませんし、プリントも小さいサイズで大丈夫です。しかしただプリントするのではなく、紙選びや余白の取り方にも気を配ると、よりすてきになります。飾ったときにきらりとするほうがよければ光沢のある紙を用い、柔らかい印象や優しい風合いがほしければマット系のテクスチャーのある紙を使うといいでしょう。また紙が白いと引き締まったモダンな雰囲気になり、黄色いとナチュラルな雰囲気のものや場所との相性がいいです。今回の例では、1ではベルベットファインアートペーパーを、2では写真用紙クリスピア<高光沢>とPCM竹尾のDEEP PV波光を、3ではアワガミファクトリーのプレミオいんべを、4のモノクロ写真ではピクトランの局紙を使っています。余白の使い方にも工夫の余地があります。写真の下部だけ余白を大きくとってポラロイド風に見せたり、余白を黒くして印象を強くしたり、余白に文字を書くといった遊び方もできます(右の写真参照)。
さらに、13のように立てかけて飾る場合には、スケッチブックや箱の後ろに、お気に入りの本を置いたりして“重ねて立てかける”というテクニックも。こうすると、飾るものと壁が同じような色であっても同化させずに見せることができます。
ご自宅にあるものを利用したり、ちょっと手を加えるだけで、方法は無限に広がります。写真を飾ることをあまり大げさに考えず、思いつくままにいろいろと挑戦してみてください。

監修:井上陽子

1975年滋賀県生まれ。イラストレーター、クラフト作家。マスキングテープやラッピンググッズのデザインも手がけていて、記事中の2で紹介しているマスキングテープは、倉敷意匠計画室により商品化されている。
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