北海道の知床半島・羅臼町を拠点とする関勝則。釧路生まれの彼には海で遊ぶという習慣がなく、しかも全く泳げなかったのだという。「25年前、20代半ばのとき、友人に借りたウェットスーツの暖かさに驚き、寒い海でも遊ぶ事ができると知り、マスク越しにかいま見た別世界に感動したのです」このときのダイビングの舞台となった知床が関氏の新しい人生を導きだしたのである。北の海の魅力は、毎年新しい出会いをもたらしてくれる生きものたちとともに訪れる海中の四季、海との出会いは写真という行為につながっていく。
関氏の写しとる生物たちは、深度に応じて濃度を増していく蒼と差し込む自然光が描きだす壮大な絵画の中に浮き彫りにされていく。碧海を悠然と身をくねらせその姿から漂いだす凛とした風格からは、営々と紡がれる極寒の自然の厳しさがおのずと醸し出される。
「うみまーる」として、活動を続ける井上慎也+松明日香。「うみまーる」とは、「海」と「ゆいまーる(島や集落の人たちがお互いに助けあうこと)」を合わせた造語である。井上氏は、海のことがもっと知りたい、サンゴ礁のそばで暮らしてみたいという思いで琉球大学に進学、ダイビングクラブに所属する。「その頃、中村征夫さんの『海も天才である』というフォトエッセイを読み、冒険のようにワクワクするのにどこかズッコケているような楽しい生き方に感動して、僕もこんな仕事がしたいと思うようになったのです」うみまーるでは、基本的には、井上氏が写真撮影、TV局のディレクターとしての経験を持つ松氏がディレクションを行なう。「自然の素晴らしさを伝えていくということが一番の目的なので、写真でも映像でも文章でも、2人の力を合わせて"伝えるための作品"をつくりあげています。既存のスタイルにとらわれず、伝えたいことや想い、ポリシーを大切にして力を合わせて活動している、それがうみまーるなのです」
寒冷の北端と常夏の南端という遠く隔たった土地で撮影された二組のフィルムには、海流や水温がもたらす全く違った自然環境特有の情景がそれぞれに定着されているのだが、その根底には、自然をリスペクトし一体化して生きようとする共通点が見いだされる。エプサイトのデジタルクリエイタは、対照的な海の持つ生態環境と写真家の想いにイマジネーションを馳せながら、それらを総括的に包括するプリントとして仕上げていった。我々が展覧会で出会うのは、築き上げられてきた小さな想いの蓄積である。表現者は常に、我々の代弁者なのだ。
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