電子カルテ導入と法人内ネットワーク
再構築で、患者さま情報を共有。
医療サービス向上を実現。
医療機関
社会医療法人 恵仁会様
社会医療法人 恵仁会様ホームページ
(※別ウインドウで開きます)
社会医療法人恵仁会様は長野県佐久市のくろさわ病院を中心に、3つの診療所、2つの介護老人保健施設、約30の介護サービス事業所を運営しています。医療と介護の両方をカバーし、地域住民の健康をトータルでサポートしています。
2007年に創立70周年を迎えた恵仁会様は、70周年の重点キーワードとして 「TQM」(Total Quality Management) を掲げ、医療サービスのさらなる品質向上に取り組んでおり、その一環として、電子カルテシステムの導入を含めた法人内ネットワークの刷新を決断。一連のプロジェクトを当社に委託することにしました。
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恵仁会 理事長
黒澤 一也氏
背景・要望
「検査データや過去の治療内容をすぐに参照
できない。ネットワークも情報の共有化には
不十分」
恵仁会様の各施設はそれぞれ分散しており、最も遠い菅平高原クリニックのように佐久市の本院から約50km離れているところもあります。「施設間の移動に時間がかかるため、担当医が検査データをすぐにチェックできず、また別の施設にいる専門医の判断を仰ぐことが困難などの課題がありました」と、恵仁会理事長の黒澤一也氏は語っています。
過去に受診歴のある患者さまや利用者さまが別の診療所や施設で受診する際、これまでの治療内容を参照することもできない点も悩みでした。

恵仁会 本部 総務課
課長 鈴木 聡志氏
その解決策として導入の検討を始めたのが電子カルテでしたが、導入にあたり法人内のネットワーク環境を調べると、さまざまな課題があることが分かりました。
古い環境のため電子カルテを使いこなすとなると帯域不足が予想され、また各施設が個別にISPと契約しているのが実情でした。
事務で利用するファイル共有レベルならともかくカルテという漏洩の絶対許されない個人情報を施設間で共有するには、各施設が一般のインターネット網に直接つながる現状のネットワークは理想的とは言えません。
セキュリティの保たれた環境の中で、本院と各施設を結ぶ必要があったのです。
電子カルテというアプリケーション部分だけでなく、ネットワークインフラまで含めたシステム全体も構築となるとプロジェクトが複雑になるため、トータルなコーディネーター役が必要と考えました」と総務課課長の鈴木聡志氏は語っています。
恵仁会様はその役目を、医療系のシステム構築実績を持つエプソンiソリューションズに委任することにしました。
「医療と介護の情報を連携できるシステムを提案。セキュリティ確保は
光専用線のネットワークで実現」
エプソンiソリューションズは、恵仁会様のシステム検討委員会に一メンバーとして加わる形で、プロジェクトに参画しました。
電子カルテシステムについては、医療と介護の連携という恵仁会様が目指すサービスを実現するために、電子カルテシステムと介護施設向けシステムの連携を提案。
本院と各施設は光専用線で接続し、クローズドなネットワークを構成することで、情報が直接インターネットに流れないセキュリティの高い仕組みを作りました。
さらに法人全体で情報を共有するためのポータルサイトを構築し、セキュリティが保たれたネットワークの中で、各施設のスタッフが自由に掲示板やメールを利用できる環境も構築しています。
システム構成図
・拠点間接続
・各拠点接続機器
・インターネット利用
・ウィルス駆除ソフト管理
・本院サーバーへの
アタック対策
・端末分離
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光専用線(常用)、CATV(バックアップ)冗長化構成
ファイアウォール機能付きルータ
(VPNおよびセキュリティ保護機能装備)
全拠点、本院のファイアーウォールを経由させ、監視・管理を行う。
本院で集中管理。
ファイアウォール及びIPSを導入。
情報端末は、電子カルテ端末と区別。
(院外へは本院のF/Wを経由する)
ソフトウェア構成
・電子カルテシステム 「MegaOakSyntheScope」
・介護関連システム 『寿』 ((株)南日本情報処理センター製・導入も同様)
「どの施設にいても患者さまの治療履歴と検査データがすぐに分かる。
ポータルサイトには業務改善提案などが続々」

整備された
サーバールーム
電子カルテ導入により、医療と介護の現場の情報共有化は一気に進みました。患者さまや利用者さま一人ひとりにIDを割り当て、ID単位で過去の治療や処置の履歴を統合しました。その情報は光専用線で結ばれた全施設で共有されるため、どの施設でもこれまでの経過を随時参照しながら最適な診療が行えるようになったのです。
電子化により、医師が入力した情報が転記作業を経ることなくそのまま関係者に伝わり、途中での転記ミスなどによる誤解のリスクがなくなった点も大きな効果です。
また電子カルテはPACS(医療用画像管理システム)とも連動しており、PACSで管理しているレントゲン画像を簡単に、しかもどの施設からでも呼び出せます。
黒澤理事長は「当直で他の診療所にいるようなときでも、担当する患者さまの状態をすぐに判断してカルテを書くことも可能になり、患者さまへのサービス向上が実現できました」と、その効果を評価しています。
また新しいネットワークをベースにした法人内のポータルサイトでは、メールや掲示板での情報交換が活発に行われています。
掲示板には業務の改善提案や不要品の融通など、従来は募集の仕組みがなくては集まらなかったような情報が、続々と挙がるようになりました。
全スタッフにIDを提供しているため、「これまでパソコンを使っていなかったスタッフもパソコン上の情報交換に参加するようになり、法人内の情報の風通しが高まったのを実感しています」と鈴木氏は語っています。
システム導入について

恵仁会 本部
経営企画課
竹内 峡綾氏
エプソンiソリューションズは電子カルテシステムの選定にあたり、恵仁会様で実際にシステムを利用するエンドユーザーの声を積極的に集めました。
「システムを導入候補の段階で現場に持ち込み、どれが使いやすいか、業務にどれだけマッチするかを現場にヒアリングしていただいたので、現場も自分たちが導入プロジェクトに参画している実感を持ち、その後の導入が円滑に進みました」と、当時現場でシステム選定に携わった経営企画課の竹内峡綾氏は語っています。
またネットワークの構築でも、施設があちこちに分散しているために、すべてを電子カルテが使えるレベルで結べるサービスは簡単には見つかりませんでした。
しかし各施設でサービスの業者を変えると、ネットワークの管理が煩雑になってしまいます。最終的には物理的に一つのネットワークに結べるサービスを恵仁会様に提案し、構築することになりました。
「一つのネットワークに法人の全システムをおさめることで、セキュリティ投資も集中的に行えるのは大きなメリットでした」(鈴木氏)。
そのセキュリティの面では、エプソンiソリューションズはポリシーの策定も行っています。以前はインターネット回線の契約を含めて各施設に利用方法を任せていましたが、法人全体として電子カルテという重要な個人情報をネットワークで扱うとなると、明確なルールの下で
運営することが、対外的な信用度向上のためにも必要です。
メールやインターネットの利用範囲などについてポリシーで明確に定めたことで、「スタッフ一人ひとりが情報の扱い方に対し常に意識を持つようになりました」と竹内氏は話しています。
現在恵仁会様では、同意書のようにペーパーで残す必要のあるもの以外は、カルテを含めてほとんどの書類をできる限り電子化するようにしています。
診療所の中にはカルテの100%電子化を完了しているところもあり、法人全体としても2010年度中には紙のカルテを原則廃止する方針を掲げています。
さらに今後は、同じ電子カルテシステムを利用している他の法人と積極的な情報交換をはかっていく意向で、システム構築を支援したエプソンiソリューションズと協力しながら使い勝手や利用度のさらなる向上をはかる方針です。