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2008年度 受賞者インタビュー

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毎回多くの応募作が集まるフォトグランプリ。今年もその中から多くの力作・秀作が選ばれました。その中で栄えあるグランプリに選ばれたのは、小原功嗣さんの「波躍」(ネイチャー部門)と麻川尚良さんの「花婿ルンルン」(ヒューマンライフ部門)。受賞者インタビューでは、おふたりの作品の背景に迫り、デジタル作品の魅力をお伝えしてゆきます。

ネイチャー部門 グランプリ受賞
小原 功嗣(おはら のりつぐ)さん

見てくれる人に何か元気のようなものを与えたい

小原 功嗣さん

サムネールプリントからはじまる作品づくり

−今回応募された作品はA2サイズでしたが、小原さんの作品制作の環境を教えてください。
はじめ、この作品はA3ノビでプリントしてみたんですね。そうしたらなんていうのかな?僕の持っていたイメージとは少し違ったんです。そこで、試しにA2で出してみたところすごく決まってて、「このサイズしかないな」って確信しました。A3ノビまで出来るプリンターも多く発売されるようになって、A3というサイズも前より「大きい」という感じではなくなってきましたよね?そこでもうワンサイズ大きくして、撮った自分もその迫力を感じることの出来るプリントにしました。
普段使っている機材は、マッキントッシュのパソコンにスキャナー、PX-6500です。自室に機材全般を置いてますので、とにかく狭い。出来たてのプリント紙を乾かすのはベッドの上です(笑)。

−作品はどのようにつくるのでしょう?
僕の場合は撮った写真をまずインデックスプリントにしないとはじまりません。フィルムの時代からやりはじめた癖のようなもので、まずベタ焼きから・・・。ここで自分が何を撮ったか、どういった写真が撮れていて、気に入った写真はどのようにして完成させるかなどを考えてゆきます。モニター上だけで選ぶことはしません。しないと言うより選べないんです。どんなサイズでも実際手に持てる形にすることで、整理して物事を考えることができますね。サムネールプリントで選んだ写真は、次にA4に伸ばしてみて、Photoshopでレタッチをして本番プリントを行います。レタッチは彩度や全体の明るさ、コントラストを少しいじる程度です。

イメージ画

ネイチャー写真との出会い

−小原さんがネイチャー写真を撮るようになったきっかけは何だったのでしょう?
ニューヨークに行った時にウィリアム・ターナーの風景画を見たのが始まりです。それまで大阪の写真専門学校に通って写真の勉強をしていましたが、当時は商品やモデルの撮影をしたいと思っていたんです。でも、その絵を前にした時、はじめて動けなくなったんですよ。それで、風景でも人を感動させることができるんだなと思いまして、そこからネイチャー写真を撮るようになりました。


−今回の受賞作は波を撮った写真ですが、制作背景を教えてください。
実はこの写真、撮るようになったきっかけはほんと些細なことがきっかけです。他の作品で夕日を撮るために海岸に行っていたんですが、そこで日が沈むまで時間をつぶしがてら波を撮ってみたんです。それを家に帰ってモニターで見たら、まるで波が生きているように見えまして、それがすごく面白くって。そこから夕暮れ時を狙って撮影をするようになりました。波の動きは予想できませんから、海岸と家を何度も往復して、失敗を重ねてようやく撮れたものがこの作品です。撮影期間はだいたい2ヶ月くらいだったと思います。
作品のタイトルになっている「波躍(はやく)」ですが、これは造語です。最初作品を撮っている段階では「波動」という名前だったんですけど、これだと動いているということは伝わりますが、写真の説明のような感じです。それ以上広がりを想像させませんよね?そこで父に相談したところ、「躍」なんてつけたらどうだろう?というアドバイスをもらって完成しました。波が生きているように踊るみたいな雰囲気が伝わって欲しい、そんなメッセージを込めています。

小原 功嗣さん

写真をもっと多くの人に見てもらいたい

−作品づくりに関してこだわったことはありますか?
この作品に限ったことではありませんが、僕がデジタルで作品をつくる時に大切にしているのは色です。記憶色という言葉がありますが、それを一番大事にしていますね。自分が見て感じた色を自分でつくり出すことができる。そういう意味ではデジタルで自宅プリントができる環境っていうのは今のところベストなんじゃないかなと思っています。

−今後はどのような作品を展開していこうとお考えでしょうか?
今はあまり何も考えられないですね(笑)。数ヶ月前にアメリカに留学していた時に知り合ったフォトグラファーと一緒に2ヶ月間九州に撮影旅行に行ったんです。僕は運転助手のような感じでしたけど。その時に撮影した写真や、四国の方を取材して撮る写真をまとめてゆきたいなと思っています。また、コンテストに応募するのと一緒に展覧会もやりたいですね。僕の義理の兄も絵を描いていて、以前一緒にグループ展をしたこともあるんですが、またそういうのもやっていきたいです。

−今回の受賞の喜びは誰に伝えたいですか?
友達とかとも考えたんですが、はやり母ですね。伝えるまでもなく一番最初に受賞を知った人なんですけど(笑)。受賞の電話を貰った時、僕は仕事で家を出ていて母が取り次いだんですが、もう大騒ぎで(笑)。僕よりも喜んでいたのは母でした。今回の受賞は僕だけではなく家族中が元気になるような思いがしました。僕をネイチャーに導いたウィリアム・ターナーのように、今度は僕も見る人に何か元気のようなものを与えられるような風景写真を撮り続けたいです。

制作現場を見せてもらいました

仕事風景

「デジタルカメラで作品づくりをするようになっても引き伸ばし機がなくなっただけ。フィルムの頃と制作工程はあまり変わりません。」という小原さんの作業空間は機材でぎっしり。19インチモニターの横にはスキャナーとPX-6500が置かれています。目を引いたのはストレージビューワ。なんでも小原さんの撮影には必要不可欠で、撮影以外のシーンでも持ち歩くことが多いとか。「撮った写真はすぐにこの中に入れてますね。CFカードを何枚か持って行くのもいいと思うけど、それだとどこに何が入ってるかすぐ分からなくなっちゃいますよね?パソコンを持ってたら撮影なんかできないし。」多くの撮影経験をもつ小原さんの機材に対するこだわりが見えてきます。

制作環境
使用プリンター:エプソン「PX-6500」
使用カメラ:Nikon D2X

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ヒューマンライフ部門 グランプリ受賞
麻川 尚良(あさかわ たかよし)さん

心を通わせながら撮る・学ぶ

麻川 尚良さん

スナップで賞をもらえたのが何よりうれしい。

−グランプリ受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。これまでたくさんの写真を撮ってきて、いろいろ発表をしてきましたけど、当コンテストでグランプリを自分がとったというのは・・・なんか不思議な気がしますね。受賞の電話を貰った時はいまいち実感がわきませんでした。

−今回の受賞作品はスナップで撮った単写真でしたが
ええ。たぶん実感がわかないのもその辺も理由になってるかもしれません。私はいろいろな写真を撮っています。その中には、もちろんスナップもあります。しかしこのスナップ写真、ここ最近はプライバシーの問題もあって撮る量が少なくなってきていたのです。そうした中で今回賞をいただけたのは大変名誉なことですし、気に入っている写真だけにうれしいです。
この写真は、東京に出かけた時に、明治神宮で出会った結婚式のワンシーンです。新しい夫婦を見ているうちに、彼らの幸せを私自身も共有しているような気持ちになったんです。もちろん偶然出会ったわけですから、知り合いではありません。しかし、眺めているうちにまるで自分の子供が結婚していく姿のように見えて、「記録を残したい」という気持ちで声を掛け、撮らせてもらったんです。その時の私と彼らが一瞬だけ心が通じ合うといいますか、いい距離感で撮影できているスナップ写真だなと思っています。お二人に感謝です。

仕事風景

家にいる時はほとんど写真の作業

−麻川さんの写真との出会いを教えてください。
中学生の頃、姉がボックスカメラを買ってくれたのがきっかけです。高校を卒業した時に兄から一眼レフカメラをプレゼントしてもらいました。レンズを向ける対象は主に家族中心でしたね。結婚して子供が3人生まれましたが、子供の成長記録も沢山撮りました。子供たちが結婚する時にはひとりにつき15冊以上になっていたかな。作品と呼べる写真を撮り始めたのはそれ以降です。


−スナップ写真以外には、どういった作品を撮っているのですか?
祭りや風景、草花を撮ることが多いです。家族以外の対象を撮り始めたきっかけは、地元中津の美術協会の友人に、一緒にスケッチに行こうと誘われたのがはじまりです。私は絵は描けませんので、写真でスケッチをしようと思い、カメラを持っていきました。そこで出会った山野草は実にきれいで、私はこの瞬間を家族の記録写真同様、記録して持っておきたいと思ったんです。それ以降山野草をはじめいろいろな対象を精力的に撮るようになりました。
現在の作品はデジタルカメラだけで撮っています。フィルムから移行したのは4~5年前。それまではパソコンを触ることもほとんどありませんでしたので、はじめてパソコンを用意した時には息子もびっくりしていました(笑)。でも、はじめてみたらこれほど便利なものはありませんね。それまで現像やプリントはラボに出して、仕上げのすべてを業者の手に委ねていたものが、すべて自分の手によってできるようになったんです。写真の面白さをデジタルによって一層感じるようになり、制作意欲に繋がっていったように思います。今は時間さえあれば撮影をしているか、家にいる時はほとんど写真選びやレタッチをしています。今回の受賞は、家内の理解と協力の賜だと感謝しています。

麻川 尚良さん

絵を描くように撮る対象を観察する。

−作品づくりに関して心がけていることはありますか?
撮影の時に心がけていることは、「絵を描くような気持で写真を撮る」ということです。撮ろうと思った対象をよく観察して、どういう風に撮るかどういった構図で撮るかなど、じっくり見つめてゆきます。それは絵を描くように、あらゆる対象に語りかけ、心を通わせながら、最もいい姿を探してゆく作業です。
プリントに関してのこだわりは、特にありません。仕上げはもちろん自宅でやっていますが、色のマッチングなどは何もしなくてもうまくいっていて、細かい設定などもしていません。
デジタルプリントに関する知識はまだまだ勉強中で、周りの写真仲間やエプソンが開催しているセミナーなどで少しずつ積み上げています。本を読んで知識をつけようとしてもなかなかうまくいかないことが多いですから、気兼ねなく質問ができたり、自分の作品を基に学んでゆける環境をつくるようにしています。これからデジタルをはじめる人も、一人でやることを考えないで友人やセミナーといった周辺とコミュニケーションしながら勉強してゆくと結果的に上達も早いと思います。

−今後はどういった作品を展開しようとお考えですか?
そうですね、ヒューマンライフ部門でこのような評価をいただけましたので、今度は好きなネイチャー部門の作品でがんばってゆきたいなと思います。受賞を契機にあたらしい被写体に挑戦するということはあまり考えていませんけど、次に展開してゆくアイデアはいくつかありますが、公表してしまうと新鮮味がなくなってしまいますのでここでは言いませんけどね(笑)。自然とふれあいながら、さらに精進してまいります。

制作現場を見せてもらいました

仕事現場

作業はリビングの一角に設けたスペースで、机の上にはパソコン、フィルムスキャナーそれにPX-G5000。その脇には本棚があり、ファイルがぎっしり入っていました。
「パソコンには外付けハードディスクを3台くっつけて、写真データはそこに保存しています。ふたつはデジタルカメラで撮ったデータを原画と加工分とに分け、もうひとつはフィルムスキャンしたデータが入っています。」
データ保存についてたずねると、「写真データはハードディスクだけではなく、DVDに保存し、サムネールをファイリングしています。これはパソコンから離れて写真選びができて便利です。是非やってみることをお勧めします。」安全と効率を追求した保存へのこだわりを見ることができました。

制作環境
使用プリンター:エプソン「PX-G5000」
使用カメラ:Nikon D300


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