10年以上の歴史をもつ「エプソンカラーイメージングコンテスト」。その一部門として2003年から設けられた「ネイチャー&ヒューマンライフ フォトアワード」をさらに発展、独立させたのが、この「エプソンフォトグランプリ」だ。より多くの人にデジタルプリントを楽しんでもらうため今年度は2回開催し、各回ごとに順位を決定。さらにポイント制として、トータルで年間グランプリを決めるというユニークなシステムを採用している。
部門はふたつ。自然風景、動植物などのテーマが対象となる「ネイチャー部門」と、人物スナップ、都市景観、暮らしなどの自由なテーマを対象とした「フリー部門」が用意された。各20作品の入賞のほか、「モノクロ賞」「フォトストーリー賞」もある。審査員はネイチャー&ヒューマンライフ フォトアワードから引き続いでいただいた田沼武能先生、竹内敏信先生のおふた方である。
カラーイメージングコンテストは認知度も高くなっているようだが、フォトグランプリは今回が初めて。果たしてどのくらい応募があるか少々心配されたが、ふたを開けてみれば4080作品もの応募があった(ネイチャー:2037作品、フリー:2043作品)。まさに嬉しい悲鳴である。

9月30日、いよいよ審査会だ。第一次審査では田沼先生にはフリー部門を、竹内先生にはネイチャー部門を担当していただき、各部門150点程度に絞り込む。アシスタントが順に写真を渡していくのだが、先生はそれを見事な速さでチェックしていく。「これはちょっとツライかな」「残しておこうか」と、ほとんど瞬時に判断されていく。といっても決して雑ではない。近くにいるのが恐いほど真剣な面持ちだ。審査会場となったエプソンの広い会議室は緊張感に包まれていく。本来なら昼までに第一次審査を終える予定だったが、作品点数が多いために午後にまで食い込んでしまった。
しばし休憩のあと第二次審査がスタート。今度は両先生でいっしょに各部門を審査していく。まずはネイチャー部門、その後フリー部門だ。一次審査を通った作品をテーブルにすべて並べ、いいと思った作品に付箋を付けていく方式。さすがに一次審査よりもチェックに時間がかかる。「PM-4000PXが多いね。かなり売れたんだろうね」と竹内先生。もちろん使ったプリンターの種類で賞が決まるわけではないので安心を。PX-5500もずいぶん多いようだ。「うーん、表情がいいね」とつぶやきながら選ぶ田沼先生。人物写真についてはこだわりが顔を覗かせる。
組写真(フォトストーリー)について竹内先生から意見が出た。「おしいなぁ、並べ方を変えるだけでずっと良くなるのがいくつかあるんだけど、これは並び替えてもいいのかな」。ずっと選考の補助をしていたエプサイトの鵜澤淑人さんが答える。「このフォトコンテストは指導の意味もありますから、それはいいと思います。もちろん応募の方には確認を入れますが、応募者と先生が一緒に作品を作っていくという面もありますし」。並べ方ひとつで写真が輝いてくることもある。面白いものだ。

最終審査には各部門30~40点が残った。作品を前にどれをグランプリにするかといった検討会である。「落とすのに忍びない作品がたくさんあるね」。「(サービス判の作品を手に)小さな作品も入賞するんだって思われるようにしたいね。良い作品は大きさじゃないし、先生の目は節穴じゃないよって(笑)」。「これはうまくはめ込んだなぁ。加工合成賞をあげたいよね」と、なごやかな中にも緊張感をもったまま最終審査は進められた。
ここで提案が出された。「規定では10位までと入選だけど、そのすぐ下にいい作品がたくさんある。急に賞金を増やすのは無理だとしても、賞だけでもあげられないだろうか」。その場でスタッフを集めてミーティングが行われ、急遽「佳作」が設けられることになった。
そしてネイチャー部門のグランプリには、数多い花のマクロ作品の中でも独特の雰囲気を放っていた好光邦子さんの「ハートタイム、美しい町内の夏」が、フリー部門では「文句なしの実力を感じる。ハッセルを使ってらっしゃるが、目も四角くなってるんじゃないか(笑)」と田沼先生に言わしめた川口新実さんの「表参道界隈」がグランプリに選出された。
最後に選評で〆となる。「今はデジタルとか銀塩とか分けて考えてないんですよ。やはり映像ですよね。ひとつの映像としていいか悪いか。素材がデジタルである、銀塩であるということだけで、写真そのものは変わらないよね」と田沼先生。「プリンターの技術が向上して、モノクロもカラーもトーンがきれいで精密な描写ができるようになった。これで新たな時代のプリンティングが生まれてくるんじゃないかと思います」と竹内先生。
エプソンフォトグランプリ2006の初めての選評会はこうして幕を閉じた。第2回はどんな作品に逢えるだろうか。 |