
[ 都会の森/九月 ]
岡川 恒輝Koki Okagawa
- 1986年生まれ。東京都。学生。
- 284×825mm/80頁作品集
昨年のこと、幼い頃から見ていた大きな会館がつぶれた。沢山の結婚式や宴会が行われた会館は、晩年「都会の森」という陳腐な名前であった。取り壊されていく様を、数ヶ月、フェンスを飛び越えて間近で見ていた。全てが瓦礫になる頃、友人の誘いで旅へ出ることになる。安い車で大分まで向かう、地を這うような旅であった。
「都会の森」が消え去り、日本の風景を採集するような旅に出た。道路はどこまでも続いた。本当に「どこにだって行ける」と思った。とても長い夏の終わりだった。
写真を今回まとめたのは、スキャナーの妙な主張がきっかけである。コンタクトシート代わりにフィルムスキャンを行うと、山小屋の壊れたテレビのように奇妙な色を提示してきた。スキャンする度に画像の色が異なるので、レンズがもう一度色を探すようであった。
故障した三原色の痕跡はフィルムをしなやかなデジタルファイルにしなかった。モノクロフィルムは記録性を保ったままインクジェットペーパーに焼きついていった。