[ untitled ]
櫻井 裕子Hiroko Sakurai
- 2,300×1,500mm/単作品

人と出会った時、その人が考える事全てがこちらにあらかじめ解っていたり、
出会った人を知り尽くして全て一体化してしまえたらいいのになあという衝動を感じていました。
しかし、結局一体化する事はできませんでした。
自分の身体以外の大きな流れに身を任せて一つになっていこうとする時、
全て迎合する事はできません。
私たちは、奇妙な存在です。
2枚の写真を、その人が誰なのか解らなくなる程まで裁断し、自らの手で編み上げていく。
もう一度、誰かも解らない人を生み出す。
二つの像は、重なり合う事はあっても
決して一体化する事はできません。
今回の作品は、
私の裸体と、知り合いの女性の裸体を編み合わせたものです。
<審査員講評>
藤原これは単なるアートじゃない、妙なリアリティがある。網の目に編みこんだ人体がまるでピクセルの中に溶け込んだデジタル時代の人間の意識や身体感のようにも見えます。作者は母親と一体化したいという願望がこの執拗な二重の人体像の編みこみになったと言っていますが、ということは母と子の関係に疎外感があるということでしょう。そういう意味でも非常に今的です。そういう切実感がアートに陥ることを食い止めている。今回の応募作品の中ではこれが一番よかった。
大竹この作品の強度の源泉は、やはり素っ裸になって自分をさらけ出しているという点です。自分をヌードで撮っている、そこがまずいいんですよね。風景とかそういう「物」ではない強さ。あと足の部分の切れ方とかそのへんもどれもうまくいっている感じがします。うまいところに着地をした感じです。
森山非常に存在感がありますね。なんというか、フリーな感じ。いわゆるコンセプチャルなアートとは微妙に違う面白さがあるんですよね。僕はこういう作品は初めて見たから、ついに写真も編まれるようになったかと思ってびっくりしました。猥雑感もあって、よく編みましたっていう感じです。
佐藤手前の写真の輪郭がぐっと前に出ていて、そこで編むのをとめてるんですよね。ちゃんと編むところと適当に委ねるところが両方ある。そのあたりが、おもしろい。
勝井未完成のように見える。非常に丁寧につくっているけれど少しラフで、そこに新しさがあって結構効いている。あまりきちんとしてしまうとこんなふうにはならない、これは人間の手がうみだしたたまものですね。下のほうに床が幻影のように写っていたり、頭の上の余白が残っていたり、波打っていたりするのも、面白い。
<作家プロフィール>1984年生まれ。

