お客様の期待を超える価値を創造できる強みに集中しますエプソンは2012年5月、創立70周年を迎えました。これまで支えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。この間、私たちを取り巻く環境は大きく変化しましたが、お客様を大切にし、お客様の期待を超える価値を創造することで、エプソンが世界の皆様から信頼され社会とともに発展できるよう、一貫した姿勢で事業を行ってきました。今後もこれまで以上にたゆまぬ努力を続けてまいる所存です。
2011年、日本は東日本大震災という未曾有の大災害に見舞われ、多くの方々が被災されました。さらに原子力発電所の事故とその後の各地での運転停止、タイの洪水などにより、電力・環境の問題やグローバルサプライチェーンの重要性がクローズアップされ、改めて企業の社会的責任の重さを実感するとともに、社会が求める方向に私たちの目指す方向が合致していることを確信しました。
それは、私たちが創立以来培ってきた「省・小・精」の技術※1を究め、極めることにより、小さく高性能で省電力・低環境負荷という、これからの社会が求める方向性や価値観、ライフスタイルに合致する新たなお客様価値を創造できるということです。例えば、2011年に発売した小型インクジェットプリンターは、従来のモデルから35%小型化され、設置場所の自由度が上がり、お客様の使い勝手が向上しました。またこの小型・軽量化は、輸送などにおける環境負荷の低減にもつながっています。
2011年度は、インクジェットプリンターでは、エプソン独自のマイクロピエゾ技術※2 の特性を活かし、本格的なビジネス向けモデルや小型モデル、商業・産業領域に向けた商品を発売しました。プロジェクターでは、3Dや短焦点モデル、あるいはインタラクティブ機能を搭載した商品でラインアップを拡充し、ヘッドマウントディスプレイという新ジャンルの商品も市場投入しました。さらに、センシング・省電力・ウェアラブル※3 の技術を結集して、健康・スポーツ・医療分野に向けた商品・サービスの提供も始めています。こうした事業を通じて、私たちは社会の期待に対して一歩踏み出すことができたと考えています。
エプソンは、長期ビジョン「SE15」の実現に向けて策定した「SE15 前期・後期 中期経営計画」に沿って事業を展開しています。2009年度からの3年間を前期と位置付け、利益体質への転換を果たし、新たな成長へ向かうためのステージとしました。景気の低迷、円高、自然災害など、急激な環境変化へのスピーディーな対応に課題は残りましたが、事業領域・商品ラインアップの拡充、総原価の低減による利益率の向上など、着実な成果をあげることができました。
2012年度からの後期3年間では、「SE15」の実現に向け目指す方向からぶれることなく計画の実行を加速させます。プリンティング領域では、マイクロピエゾ技術によってコンシューマー市場やオフィス市場だけでなく、商業・産業を含むあらゆる領域のプリンティングに革新をもたらします。プロジェクション領域では、独創のマイクロディスプレイと光学技術をさらに進化させ、映像とコミュニケーションの新しい世界を創造します。デバイス精密領域では、独自の強みであるQMEMS※4や省電力半導体技術、精密メカトロニクス技術に立脚した強い商品を創出することで、事業体質を強化し、顧客基盤を拡大します。
具体的には、レーザープリンターが主流のオフィスでの印刷環境をインクジェットプリンターに置き換え、商業・産業領域の印刷装置をアナログ印刷からデジタル印刷に転換する取り組みを加速します。また、見たいものがいつでも見られる、自分の身体の状態がいつでもわかる、こうした楽しさや安心を、「省・小・精」の技術を極めたウェアラブルな機器によって、もっと身近なものにしていきます。
※4 QMEMS(キューメムス): Quartz+MEMS、水晶素材に半導体の微細加工技術「MEMS」を施した水晶デバイス
エプソンは、世界の皆様から信頼される会社であり続けること、すなわち「信頼経営」を経営理念に謳い、グローバルに事業を展開しています。2011年は日本において、経営体質が問われ信頼を失墜させる重大な企業不祥事が相次ぎました。当社はこれらを他山の石とし、これからも内部統制の維持・向上に注力していく所存です。それは私たちの「創って、作って、お届けする」事業活動を、組織的、効率的、健全かつ継続的に行うための前提であり、エプソングループ全体のガバナンス体制を確立し、共通の価値観や企業風土を醸成することに他なりません。
「お客様の期待や想いを超える」。「お客様に驚きや感動をもたらす」。このような想いと決意を込めたエプソンのタグライン「EXCEED YOUR VISION」は、私たちが目指す姿、果たすべき役割であり、ステークホルダーの皆様への約束です。こうした価値観や目標を全社員が共有することで、「一人ひとりが自ら進むべき方向を見いだし、難局を乗り越えていく。その集まりが大きな束のようになって一つの方向に向かっている」、私はエプソンをこのような組織にしたいと考え、全国の事業所や営業拠点を回り、経営理念をテーマに管理職と対話会を行っています。また2011年には、経営理念を正しく読み解くための冊子をもとに、各職場で経営理念と自身の仕事とのつながりについて考え、話し合う活動を行いました。今後はこうした取り組みをグローバルに展開してまいります。
世界の皆様からの信頼を得るためには、普遍的な考えや原則に基づいた具体的な行動が必要不可欠です。当社は国連グローバル・コンパクトの10原則に賛同し、2004年より活動に参加しています。2005年にはこの10原則を尊重した「企業行動原則」を定め、これを実践していくための社員の行動規範を制定し、企業活動のよりどころとして徹底してきました。これからも一人ひとりの信頼される行動を通じて、エプソンがお客様や社会のために「なくてはならない会社」となれるよう、世界中で努力を続けてまいります。
2012年7月
セイコーエプソン株式会社
代表取締役社長