エプソンの技術が独自の素材を生み出し、さまざまな業界で活用されている事例や、実際にエプソン商品をお使いのお客様の困りごとを解決できた事例をご紹介します。
金属粉末は、複雑な形状の金属部品を低コストで大量生産できる素材として各メーカーが競って開発を進めています。その中でエプソンアトミックス(株)は、さらに用途の広がる「磁性粉末」の製造技術を確立しました。他社にできないレベルまで微細化することにより、高性能で極小サイズのコイルやインダクタ―などが作れるようになり、パソコンやスマートフォン、太陽光発電装置、電気自動車、省エネ家電など、多くの商品で活用されています。


磁性粉末の開発にあたっては、金属粉末業界だけでなく、エレクトロニクスや自動車などの部品業界のお客様とも直接対話できる専門知識を身に付け、ニーズをヒアリングすることで、超極微磁性粉末の必要性の高さを確信し、エプソンにしか成しえない素材の提供というお客様価値につなげることができました。
また、樹脂や油脂類と混ぜ合わせることにより、磁気シールド材や磁性流体などにも応用展開できるため、お客様価値を提供できる機会がより一層広がっています。

磁性粉末の成分を検討する開発メンバー
この商品の開発は、「お客様の困りごとを解決したい」という社員の想いがきっかけで始まりました。台湾の多くの病院では、患者に渡す薬袋をドットマトリクスプリンターで連続用紙に印刷していました。病院に何度も足を運ぶ中で「大量の薬袋を紙詰まりなく、速く静かに印刷したい」、「飲む薬を間違えないように、薬の写真をカラーで印刷したい」といった要望や困りごとは、「インクジェットプリンターを連続用紙に対応させることで解決できる」と考えたのです。


開発にあたっては使い勝手にもこだわりました。手袋をしたままでも操作がしやすいようにボタンの大きさや配置を改良することや、できるだけインク交換なしで使えるように既存のインクカートリッジを重ねて大容量化するなどの対応を行いました。さらに、紙粉に対するヘッドの耐久性も新機構の開発で大幅に向上し、約120万枚の総印刷可能枚数※1を実現することができました。
このように、ドットマトリクスプリンターで培った連続用紙の紙送り機構や、高速・高精細なインクジェット印刷などエプソンの強みを融合し、お客様の声を何度も聞き改良を重ねて「GP-C800」が誕生しました。現在では、台湾の病院だけでなく、中国の宅配業者や小売店など、他の業界・用途のお客様にもご利用いただいています。
※1 台湾で実際に使用されている薬袋(6.5×7.5インチ)の用紙で印刷した場合

エプソンは、海外にもデザインに関する開発拠点を設け、直接お客様の現場を訪問することで商品に対する「使い勝手」「困りごと」「要望」などを理解し、次期商品に反映する活動を世界各地で展開しています。
訪問調査により、北米には一般的なオフィスに加えホームオフィスが非常に多く、使用環境もお客様の要望も他の地域とは異なることがわかりました。それまでオフィス向けのプリンターは白色が一般的とされていましたが、お客様の強い要望にお応えし、黒色のオフィス向けプリンターを開発しました。


米州デザイン拠点担当の柳澤健司は、「訪問調査によってお客様から学んできたことは、私が担当する北米エリア向けの商品開発において重要な情報となっています。これからも今まで以上にお客様の立場で発想し、開発した商品をさまざまな用途のお客様にお届けしていきます。」と語っています。

米州デザイン拠点担当
柳澤 健司
オフィスでプリンターをお使いのお客様を訪問した際、給排紙トレイや操作パネルが出されたままの状態を多く拝見し、「準備なく、すぐに使えること」、「使う状態で堅牢感やすっきり感があること」が重要とわかりました。一方、家庭でお使いのお客様からは、「トレイなどが収納できれば棚への収まりが良い」など、お使いにならない時を考慮される声を多くいただきました。そこで、それぞれのお客様の要望に合わせ異なる考え方でデザインしました。


欧州デザイン拠点担当の酒巻功は、「欧州・中東・アフリカ各地域のお客様の声をできるだけ収集し、その使用実態から教えていただいたことを大切にして、商品のデザインに反映していきます。」と熱意を持って語っています。
エプソンは、世界中のお客様の使用実態情報を集め、視覚化することで、商品の企画・開発の段階から関係部門と共有し、明確なデザイン品質の目標値を設定しています。併せて、試作品による検証を何度も行い、使いやすくデザイン性に優れた商品づくりに取り組んでいます。

欧州デザイン拠点担当
酒巻 功
当社は、社員やその家族を対象に「社員モニター制度」を運用しています。モニター登録者は、商品の使いやすさなどの品質向上や製品改善を目的とした評価に、社員ではなく「お客様」の立場で参加します。
2011年度は605名がモニター登録し、プリンターやプロジェクター、ウオッチなどの商品において9件の評価を実施しました。その結果は、取扱説明書のわかりやすさや、商品の使いやすさの向上に活かされています。

モニタールームでの評価